巷ではFIREと言われて、五十何歳でFIREするにはいくら等という記事が溢れています。それなりの根拠で計算したものですが、「あんなに貯めないとだめなのか」と退職前はがっかりしながら読んでいました。つい最近も「56歳でFIREするには7000万円以上が必要」という記事を読みました。確かに年金支給まで9年間ですからね。
「生活に押しつぶされそうになって、仕事辞めたい」と考えている時は、気持ちに余裕がありませんから、この「7000万円」という結論だけを見て憂鬱になっていました。
でも、これ「退職して何もしなければそのくらい必要になります」という記事なんですよね。
ですから、これらの記事を見て「へこたれて」しまう(私はそうでした)必要はなく、3つの要素、「現在の金融資産」、「退職後の支出」、「退職後の収入」を冷静に考えればいいのです。記事にも必ず「退職後の支出、収入が・・・であれば」という前提が書かれています。
でも、どの記事も金融資産の経済的なシミュレーションと比べて、退職後の支出や収入は「余裕を持った生活をする(そのくらいの支出)として、再就職をしないとすると」等と、非常にざっくりした設定になっています。
今回は、退職後の支出と収入を意識しながら、どのくらいの金融資産が必要か、私の考えを書いてみたいと思います。
退職するに際して、実際にどのくらいのお金などを準備したかは、前にアップしましたが(公務員を退職するための準備(2))、客観的に考えてどのくらいのお金が必要なのか、現時点で振り返って考えてみたいと思います。
金融資産を、(1)取り崩す預貯金、(2)いざという時の預貯金、(3)生活を根底で支える投資、の3つに分けて考えます。
1 取り崩す預貯金
当面必要なお金です。定年ではなく退職する際には、誰もが考えるところです。
漫然と考えていると、多ければ多いほどいいということになりますが、それでは具体的な金額が出てきません。
まず、退職後も何らかの収入を得ていくこと考えていることを前提とします。
そして、次の収入の目途が立つまでの間、収入が無い期間に必要なお金を割り出します。具体的には以下の2点について考えます。
・収入の柱を作るまでにどのくらいの期間が必要かほしいか
・退職後の支出はどの程度になるか
どちらも推測をしなければなりませんが、できるだけ具体的に考えます。
私は、期間を2年、退職後の支出は1か月20万円と見込みました。
期間については、私の場合は、(1)純粋な休養期間、(2)ブログなどでの収入の仕組みを作る期間と、(3)次の仕事の検討、具体的な職探し期間の3つの期間を考えました。
(1)休養期間は2~3カ月(ものすごく疲れていたので)、(2)ブログ等準備に1年、(3)次の仕事準備に9~10カ月と想定し、この合計が2年です。
根本的な発想として、収入がないのが不安だから、すぐに次の職探しをするということは考えていません。「退職のタイミング」「公務員を退職するための準備(1)」にも書きましたが、退職前の生活と同様の生活にならないことを肝に銘じて、今後の人生を考えていきたいからです。
2年というのは、ある程度余裕を持った計画のつもりです(やってみないとどうなるかはわかりませんけど)。
支出は月20万円程度ですが、前にも書いたように(退職して1か月は休息をとったけど、思ったほど不安はなかった、公務員を退職するための準備(2))、生活をダウンサイジングしながら、額を下げていこうと思います。
結論として、「取り崩していく預貯金」の額としては、20万円*24カ月で480万円となります。ざっくり計算して500万円を準備しました。
退職後の支出としては、税金や年金の掛け金などの公的な支出、体調を崩した時の医療費なども考えられますので、その分も上乗せするということであれば、550万~600万ということになります。
ただ、これは考え方の問題で、ダウンサイジングをそれなりに厳しくして、足りない場合に次の「(2)いざというときの預貯金」から出すということも考えられます。
2 いざというときの預貯金
いわゆる予備のお金ですから、具体的な金額は提示できません。
私は、約1500万円を準備しましたが、今考えてみれば、こんなには必要ないと思います。あえて言えば、子供の仕送りという不確定要素があるのでかなり多めに準備したということと、ブログなどもうまく行かず、転職もできなかった場合に備えるということでしょうか。
取り崩すお金の金額と同程度あれば十分かもしれません(特に根拠はありません)。
3 生活を根底で支える投資
投資については、かなし詳しく書いてきました(退職に備えた投資の始め方(1)~(3))ので、具体的なことは、そちらに譲ります。
投資について、金融資産の中での位置づけとしては、
・預貯金は減っていくもの
・投資は増えていくもの
と考えています。
アメリカのインデックスファンドに投資したとして、統計的に年数パーセント上がっていますので、仮にこれを5パーセントだとします(投資は積み増ししていきますので、自分自身の投資の正確な利回りは難しくて出せませんが、感覚的にはこのくらいだと思います。10パーセントという記事もネットにはあります。)。1000万円投資に回すことができれば、年間50万円資産が増えるということになります。
投資については、毎月お金が入ってくるわけではありませんから、直ちに使うお金にはできません。また、取り崩してしまうと増えるはずのお金が増えなくなります。卵を産むニワトリのようなもので、ニワトリを殺すと卵は得られなくなります。
ですので、余程のことがなければ取り崩して使うお金ではありません。
ただ、資産として年間50万円増えていくとすると、月の支出を20万円と見積もった場合、年間240万円の支出ですから、金融資産としての減少は年間190万円ということになります。
理屈から言えば、5000万円(そんなに無理ですが!!)投資に回すことができれば、年間250万円の利益が見込まれ、240万円の支出を上回るため、金融資産は減らないことになります。これは、極端なシミュレーションですが、投資に回せるお金が多ければ多いほど、気持ちが楽になることは間違いないと思います。
これが投資をお勧めする理由です。
もちろん、投資についてはリスクもありますから、手持ち資金の過度の割合を投資するのは危険ですので、それは心に留めておく必要はあります。
それでも、思い切って言いますが、手持ちの預貯金と同額かそれ以上は投資に回すのがいいと思います。
4 必要なお金(まとめ)
詳しく書いてきたとおり、相当程度余裕のあるように考えたつもりです。
私の意見をまとめます。
収入の柱を一定期間後(2年後)に確立することを前提とすると、無理なく退職するには以下のお金が必要ということになります。
(1) 取り崩す預貯金として500万円
(2) 予備の預貯金として500万円
(3) 利益を出せる投資先への投資として最低1000万円
合計2000万円ということになるのではないかと思います。参考になれば幸いです。