私が退職する際には、預貯金で老後必要とされている金額くらい、投資で同程度の金額を準備して、預貯金のうちの500万円を当面の生活資金にしていることは前に書きましたが、今回からはどのような投資したのかをお伝えできればと思います。
自分の資産管理ができていれば、退職の決断をしやすくなりますし、退職後の生活の安心感も全く違ってきます。
投資を始めるにあたっては、2つのハードルがあります。1つは心理的ハードル、2つ目は技術的ハードルです。
心理的ハードルは、「投資は危ない」というイメージをどう乗り越えるか、技術的ハードルは具体的に何にどうやって投資したらいいのかということです。
まずは心理的ハードルについて考えたいと思います(次回以降に技術的ハードル)。
1 投資についてのイメージ
投資については、ネガティブなイメージがついて回ります。私も職場で投資の話が出た時に、「もちろん投資やってますよ」と言うと微妙な空気になったのを覚えています。口には出しませんが「金の亡者」的な・・・。
昔ながらの人(高齢者)、まじめな家庭に育った人にはこういう反応をしがちな印象があります。
少し昔話をすると、日本には高度経済成長の時代がありました。その頃は、会社に利益がでると会社は設備投資をした上で余剰を給料として社員に再分配しました。国というレベルで見ると社会として出た利益は働いている人に還元されていました。給料が上がっていたわけです。
また、経済成長率は年率10パーセントなどというとんでもない利益が国全体として出ていましたから、その経済を回す要である銀行の羽振りがよくて、預金には何パーセントもの利息が付いていました。今の時代の投資で狙う運用利回りくらいの利息がついていたとも言えるかもしれません。
まとめると、国としての全体の利益は給料が上がるという形で社員に還ってきて、その給料は貯蓄に回すことで確実に利益をだすことができた。
この時代には投資なんて必要なかったので、あえて投資をするというのは「株で大儲けしてやろう」と企てていること、博打だと思われていたわけです。今でもこのイメージを持っている人は少なくありません。私も親にはあまり言っていません(笑)。
2 現代社会の投資をまじめに考える
今はどうでしょうか。高度経済成長時代のように会社に利益がなかなか出なくなっています。会社は利益を出してもそれを社員の給料として使わず、内部留保としてため込んでいます。社員の給料は上がりません。
また、ご存じのとおり、銀行では百分の何パーセントしか利息が付きません。
社会の利益はどこに行ってしまったのでしょうか。
簡単に言えば、内部留保が多くなると会社資産が多くなるので株価があがります。つまり利益は株主に還元されていることになります。
日本では、昔は家族的な企業風土で利益の大きな割合が社員に還元されていましたが、今は、そんなことをしたら株主総会で株主に怒られてしまいます。
これはある意味当たり前の話で、資本主義の権化のアメリカでは昔から会社の利益は、会社の所有者である株主に還元されるものでした。グローバル化が進み、日本でもこの潮流には逆らえず、社員に利益が還元される時代はとっくの昔に終わっています。
ただ、もとをただせば社員が働いて生み出した利益です。必死に働いて生み出した利益を還元してもらうのは当然ではないでしょうか。でも今は働いているだけで給料が上がる時代ではありません。株主にならなければならない訳です。
社会という大きな視点で見て、自分が生み出した利益を還元してもらうために株主になるのは、「金の亡者」になっているのではなく、正当に資産管理をしているだけなのです。
こんな風に考えて、私は投資をお勧めしています。次回は具体的な方法を書きます。