仕事をしていた頃、人間関係や押し付けられた仕事について考え出したら止まらなくなって眠れなくなることが、よくありました。眠れないと体力も削られて、やがては精神的に参ってしまいます。
そういう時にどうしたらいいか。
今では、自分なりの一つの方法があります。
まず、人間はいろいろなものを見たり聞いたりして、「嫌だな」とか「苦手だな」というマイナスの感情が湧くことがあります。
こういう感情は自分の意思で制御することはできません。
外界の刺激に対する人間の自然な反応だからです。
外界の刺激に対する感情は、そのままほおっておくしかない。
問題は、感情が湧いた後、人はそれについて考えることです。
「なぜ自分がこんな目に遭わなければならないのか」、「なぜ社会はこうなのか」など、実に様々なことを考えます。
こういう考え続けてしまうことは、実は制御が可能です。
「嫌い」という感情があって、「あいつは・・・で怪しからんやつだ。あんなこともあった、こんなこともあった」等々と延々と考え続けることも可能ですし、「だから、できるだけ距離を置こう」とポジティブに考えることも可能です。
更に、考えること自体をやめることも可能です。
考えることをやめると、心は楽になります。
ストレスがかかって眠れなくなっている時には、頭の中をいろいろなことがグルグル回り、仕事のことや人間関係のことが頭から離れなくなっています。考えたくなくても考え続けてします。ストレスフルな事実を嫌だと思う感情はあるがまま受け入れるとしても、その後、そのことを考え続けて苦しい。
だから、考え続けることをやめたらいい。さっさと眠れば楽だし、体力も削られない。
ただ、それは、言うほど簡単なことではありません。
こういう「考え続けてしまうこと」をやめるコツを考えてみます。
コツ(1) 「自分が意図して考えていることは止めることができる」と知った上で、まずは意識的にやめようとしてみる。
往々にしてありがちなのですが、マイナスの体験をしてそういう感情が湧くと、そのあと色々考えたくなる。いかに自分は被害者かとか、いかに相手が酷いかとか。感情に任せて考え続ける状態になります。
感情に任せていたら、ずっと考えが止まりません。
まずは、ここで「考えるのをやめよう」と意識的に思ってみる。これだけで、結構嫌なことを考え続ける苦しい状況が解消される可能性があります。
コツ(2) 自分の感情によって考えが止まらなくなっていると気づいた上で、そういう自分を客観視する。
「自分の感情によって考えが止まらなくなっている」と気づいた上で、そういう自分を客観視することで苦しみから逃れることができます。
「ああ、自分は今・・・が嫌でたまらなくて考え続けている」と自分で自分を客観的に見るようにします。そうすると次第に考えが静まっていきます。
無理に考えることをやめようとはしないけれど、考えに没入はしないというイメージです。
これは、座禅、瞑想などで心を静めるのと同じだと思います。ストレスで負の考えにとらわれて苦しんでいる状態から逃れる場面でも、大きな力を発揮すると思います。
結局、自分を痛めつけるのはストレスそのものではなく、それを考え続ける自分自身です。ストレスフルなものから逃れたいと思って感情に任せて考え続けることは客観的な解決にはつながりません。
そして、こんな風に感情に任せて考え続けている時には、自分では制御できないことを考えていることがとても多い。社会の矛盾だとか、他人の悪いところだとか、自分で変えることができないことを、延々と考えている。
だから、(1)まずは、自分を自分で痛めつけることをやめること、(2)その後、自分で変えられることは何かを落ち着いて考える、という順序で、自分を制御することが大切だと思います。