スタイルのある生活~早期退職50代男子ハタさんの試行錯誤~

公務員を退職するに至る経緯からその後の生活まで

シニア世代の断捨離についての考え方 ~溜め込んだモノは遺された子どもを苦しめる。~

私の勝手な印象ですが、本当にミニマムでスタイリッシュな生活をしているのは、シニア世代よりも若い人が多い。

 

でも、余計なお世話かもしれませんが、ミニマムな生活を一番取り入れた方がいいのはシニア世代なのではないかと、私は思っています。「私の家には物が少ない」と言っているシニア世代でも、相当の「物持ち」の人は多い。

 

人生を長く歩んでくると自然と思い入れのある物が溜まります。また日本は物質社会で日々いろいろな物が家に入って来る。普通にしているとモノはどんどん増えていきます。

「相当の覚悟」を持って減らさないとモノは減りません。「整理整頓はちゃんとやっている」とか「不要な物は捨てている」という程度の意識では足りません。

 

 

私事ですが、自分自身がミニマムな生活をしたいと考え出したのは20年ほど前だったと思います。当時は「ミニマリスト」という言葉も無かった。

当時からインテリア雑誌なんかを見ている時には、モノがすくない部屋や家に惹かれていました。そういう中、本気で「モノを減らしたい」と考えるようになったのは、カレン・キングストン著「ガラクタ捨てれば自分が見える」という本を読んでからでした。

この本は、読むとモノを捨てたくなります。

 

それから長い時間をかけてモノを減らすために試行錯誤をしました。当時は、捨てても捨てても、本当になかなかモノは減りませんでした。

着実に減るようになったのは、離婚をしてからでした。理由は、自分の一存でモノを捨てられるようになったことと、モノが入って来るのをコントロールできるようになったこと。本当に見る見るモノが減っていきました。

20年前から家族、親族を説得し続け、モノを整理、処分するようにしていましたが、モノが出ていくより入って来るスピードの方がはるかに速かった。

 

振り返ってみると、当時の私は、家族、親族に「モノを減らしたい」と言葉を尽くして説明しました。でも、本当の意味で理解を得ることができなかった。

皆、「モノは少ない方がいい」と賛同はしてくれるのですが、実際に個別のモノを目の前にすると「・・・だから、これは要る」と言います。色々な理由を付けて捨てない。

また、いろいろな贈答品や記念品を贈ってくれる親族も多くて、婉曲に「次は結構です。」とお断りするけれど、次は更にパワーアップされたものが送られてきたり。

モノを減らす理念には賛成だけど、具体的なモノを捨てたり増やすようなことはやめない。総論賛成、各論反対という状況でした。

 

シニア世代がモノを減らせない心理的な原因はたくさんあって、多くのミニマリストの方が指摘しておられます。それは、ほぼ全て正しい。

でも、核心的な原因は、具体的なモノを目の前にして「捨てる」と決断できないことと、モノのやり取りが好きなでモノをどんどん増やしてしまうこと。

 

モノを目の前にして「捨てる」決断ができないのは、戦中世代のお年寄りに関して言えば「太平洋戦争」を経験していることが大きい。当時はモノが無くて苦労した。だから、モノは大切にしなければならないと刷り込まれている。

時代は下って戦中世代に育てられた次の世代も「モノは大切にすべき」という考えが体に染みついている。

この考えを改めるのは大変です。

 

モノのやり取りが好きなことは、「モノは大切」という考え方が基礎になっています。「大切なモノ」を人に贈るのは誠意の表れだし、いただいたのは「大切なモノ」だから捨てられない。

 

ミニマムな生活をするためには、こういうモノに対する姿勢を根本的に変える必要があります。人生に根差した考え方ですから、とても難しいのですが、この考えを捨てないと前に進めない。

モノを目の前にした時、「捨てることが原則、例外的に今後も使うものは持つ」というくらいの決意が必要だと思います。捨てることが原則ですから、頂き物も基本は捨てる。だから、捨てるのが嫌ならもらわない覚悟が必要です。

 

余談ですが、その人の家に行かなくても、モノのやり取りをするのが好きな人の家はモノが溢れている可能性が高いと私は感じています。

 

 

最近気づいたことがあります。

これまではミニマムな生活をするのは自分のため、自分が心地よい生活をするためだと考えてきたのですが、それだけではない。自分が死んだ時、今、自分が持っているモノはあとに遺された子どもたちが処分するかどうか決めることになります。遺されたモノが多ければ多いほど手間がかかる。その労力を想像するだけで恐ろしい。

遺品の整理は、一つのビジネスになっています。遺族では手に負えないようなモノが残されているということです。

 

俳優の樹木希林さんは、亡くなる前にほぼすべてのモノを処分したそうです。

自分が死ぬ時には、子どもが必要なモノだけが残っている。これが理想だなあ。