退職準備として投資の重要性について、私の考えを述べました。
ただ、とても残念なことに、「日本の」金融商品に投資するという選択肢はありません。
日本の株などに投資ができない理由の一つに、少子化があります。
資本主義経済が発展するためには、人口増加は非常に有利な要素となります。簡単なイメージですが、人口が増えると提供しなければならないモノやサービス自然にどんどん増えますから、それを売る企業は潤います。企業に利益が出れば、給料を上げることが可能になります。そうすると、労働者は物やサービスを買うことができるようになります。
反対に、少子化で人口が減少したら、自然に考えれば、経済は縮小していきます。今の日本です。
だから、この国を立て直そうとすれば、少子化を食い止めることは絶対条件だと、私は思います。わりと簡単な理屈です。
少子化と経済、景気は関係ないとおっしゃる方もおられます。ただ、「少子化でも経済を発展させていくことができる」という考え自体を否定しようとは思いませんが、自然に考えれば人口増加が経済にとってプラスであることは確かだと考えられます。
余談ですが、以前の記事でアメリカの株式への投資がいいと言いましたが、アメリカは数十年スパンで人口増加が見込まれています。
では、少子化の原因は何でしょう。常々考えるのですが、私としては、結論はとても簡単だと思います。
子育てをする世代の生活に余裕がないから。
これしかないと思います。
いろんなことが言われていますが、子育て世代に金銭的、時間的余裕がないことが原因です。
私も、20年前は子育て世代でした。共働きで子育てをしました。
当時は、共働きの家庭のほとんどが実家の協力を仰いでいました。そうじゃなければ、とても共働きで子育てなどできませんでした。
でも、私は、当時、実家の援助のない子育てをしながら共働きをしました。
現在は、実家をあてにしないのが普通になっています。
現在と同じような環境で子育てをしていたから、違いがよくわかります。ちょっと比較してみたいと思います。
当時に比べたら保育園や小学生の居場所の確保などの政策は進んでいます。勤務先での休暇制度も整備されています。また、補助金は拡充されたかもしれません。
でも、今、子育てをしている後輩の話を聞くと、保育園に入るためには抽選があり希望のところに入れないかもしれないという大きなストレスにさらされています。職場の制度(4月に転勤があるなど)と保育園の決まる時期(多くは3月)が近すぎて、苦労している。
子どもの体調が悪いと、昔は有給休暇を使って休暇を取り、使い尽くしてしまったりしていましたが、現在は各種の休暇制度が整っている。でも、結局は親が面倒を見なければならないことには変わりはない。休暇を取ることによる心理的負担も本当に大きい。(*)
*制度があっても、自分が休暇を取った際のフォローをお願いしているという心理的負担はかなり大きい。フォローをした人に対する報酬などが制度上ないため、フォローをする人は善意でやらざるを得ない状況になっている。その裏返しとして、制度を利用する人の心理的負担がある。
程度の差こそあれ、昔も今も変わりません。
このあたりのことは、現実に共働きで子育てを経験しないとわからないのではないかと思います。
政治家や企業などの幹部は、そういう経験をしていない人ばかりで、現実がわかっていません。
さらに、日本では、子育てをするにはフルタイムで共働きをせざるを得ない状況です。
子育てをしながら、夫婦両方がフルタイム勤務をするのは、大きな負担です。
本来は、片方が育児に専念できるとまでいかなくても、相当の負担軽減が必要です。
こう言うと、子育て経験のない中高年は、「じゃあ。フルタイムではない仕事を探せばいいじゃないか」と言うかもしれません。きっと言うでしょう。
でも、現在の日本では、フルタイムの正社員という地位を一度手放したら、再度戻ることはほぼ不可能です。賃金の異常に安いパートで稼ぐしかなくなります。
何と言っても、同一労働同一賃金の実現が未来永劫できなさそうな国ですから、改善は見込めません。
だから、子育て世代は正社員であれば、その地位にしがみついて子育てを続けるしかないのです。また、正社員でない人は、普通に考えれば子育てなど無理な安い給料でもやっていく覚悟をするしかない。
今の日本の標準的な子育て世代像は、「夫婦がフルタイムで働きながら生計を維持し、子どもの体調不良や学校行事などの際にも無理をして休暇を取って対処する。」と言ったところです。この負担がどれほどのものか、実は実感としてわかっている人は、思っているほど多くはない。
さらに、以前と比べて、正社員は減っています。正社員ですら大きな時間的な無理をしているわけですから、正社員じゃない人はなおさら無理をしないと子育てはできない。
働き方を柔軟にして、同一労働同一賃金を制度として実現して、ワークシェア等の政策を実行したらいいのではないかと思いますが、そんなことを言っている政治家や企業幹部を私は知りません。
こういう状況はずっと続くと考えられます。私が子育てをした20年前から本質的には変わっていないわけですから、理想的な未来は来ないと考えた方がいい。
我々が考えるべきことは、これを嘆くのではなく、個人がどうしていくかだと思います。