メディアでは、有名な女優さんが不倫をしたとか、スポーツ選手が不倫をして離婚をした後に元の配偶者からの子供の引き渡しに応じないなどというニュースが多く流されています。
私は、テレビのワイドショーはもちろんネットの記事でもこういう話題については見ないようにしていますが、それでも記事の表題が、ニュースサイトや電車のつり広告などから飛び込んでくる。どれほど、頻繁にこれらの話題を扱っているのかは、見なくてもわかります。
私が、こういう話題、特に芸能人や有名人の家族関係の話を見たり聞いたりしないようにしている理由は、プライバシーだから。
プライバシーってことは、基本的には当該個人に関する問題で、自分には関係ないってことです。それなのに、あらゆるメディアが、多くの情報を垂れ流し、論評をしている。
余談ですが、ジャニーズ事務所は関係する企業や個人も多く、社会に大きな迷惑をかけていますが、問題の大きさの割に扱いが極めて抑制的です。
常々考えるのですが、無分別に「不倫=悪」という前提で記事なり番組などが形成されていますが、そもそも、不倫の悪いところとは何でしょうか?
・妻あるいは夫が傷つくこと?
・子供が傷つくこと?
・誠実な配偶者を裏切ること自体?
・世の中の価値観に背くこと?
うっかりテレビを点けっぱなしにしていたら、ワイドショーでは、様々なコメンテーターと称する人たちが、そういう基準で批判を繰り返しています。
でも、常々思うんですが、どうして家族が傷ついているとわかるんですか?なぜ不倫をされた配偶者は誠実だとわかるんですか?何の権限があって世の中の価値観を押し付けるのですか?さらに、メディアでそういう話題を扱う理由は何ですか?
私には、疑問だらけです。
想像してみれば、不倫をした人の夫婦関係はもう壊れていたかもしれない。子供だって、そんな親、早く離婚してくれた方がいいと思っているかもしれない。
そうだと言っている訳ではありません。いろいろな場合があると言っているのです。
だから、時代に応じて変わっていく世の中の価値観に当てはめては、誰が悪いかを詮索することはやめた方がいい。赤の他人が事情をわかりもせずに非難することも同様です。
不倫が完全にいいことだと言っているのではありません。でも、不倫をした人同士が人生を歩んでいくことだってあるかもしれない。それはダメですか?
私が30代のころ、後輩が結婚しましたが、「できちゃった婚」でした。現在は、言葉自体が死語で、子どもができたから結婚するということに強い拒絶反応を示す人は少ないと思います。でも、当時は違った。
後輩は、周囲からの相当なプレッシャーに晒されていました。
だから、「結婚することができて、よかったね。」と言葉をかけただけで、彼らが、ほっとして、とてもうれしそうだったことを思い出します。
人の人生に賛成だとか反対だとかいう意見を持つのは勝手です。でも、第三者がそういうことに首を突っ込んで、わかったようなことを口に出して言う権利はないと思います。夫婦や子供その他の当事者には、それぞれ、その人の繊細な人生があります。
それを、第三者それも「公器」と自称するメディアが、ほじくり返すのは、更に大きな間違いだと思います。
人と人とのつながりは全て違います。同じように見えても、その濃淡、強弱などあらゆるところが違います。無限のバリエーションとグラデーションがあります。
夫婦関係、家族関係も例外ではないと思います。
個々人の人生も同様です。
「不倫」という言葉に反応し、無自覚に非難し、その人を傷つける権利など誰にもないと、私は思うのです。
そういうことがわからない想像力の欠如した人が増えたような気がします。
こんなことを考えていたら、無自覚に人を傷つけ、無責任な態度を取ることの問題の大きさを扱うドラマが日本テレビで放送されていました。「最高の教師」(これから見ようとする人もおられると思うので、内容は書きませんが)という番組です。
相手のことをきちんと考えることの大切さを説いています。自分勝手な想像、憶測で人を語ったり、決めつけることを強く戒めています。
とてもいいドラマです。
でも、やっぱり、わからないんですよね。
こんな良いドラマを放送するまさにそのメディアが、不倫の話題を垂れ流している。