職探しを始めてから、その話を身近な人にすると、「何をのんびりしているのか。もっとなりふり構わず動かないとだめだ。」と、「仕事をしていないのは、よくない状況だ。」というネガティブな反応が、明示、黙示で返ってくることが多いです。
でも、私は思うのですが、そういうプレッシャーに負けてしまって、なりふり構わず職探しをして、採用してくれるところに就職すると、仕事を辞める前と同じような状況に陥る。
私の職探しの絶対条件は、パートで週4日以内の勤務。できれば前職とは違う業界。
この条件は意外にハードルが高くて、だから、「何をもたもたしているのか。」というプレッシャーにも多く晒されました。50代で仕事辞めて、贅沢言ったって仕事なんか無いよ、というプレッシャー。
でも、落ち着いて考えたら、なんかおかしいですよね。
(↑↑ こういうことを言った時点で、おこられましたけど・・。)
人手不足とさんざん言われている世の中で、なぜ週5勤務できる人しか雇おうとしないのか?
また、業界で人手が足りないなら、他の業界からの流入を歓迎するのが普通なのではないか?
根本的に疑問でした。
就職活動を一生懸命やってみてわかったことがあります。
求人では、他の業種からの流入を歓迎していません。また、これまでと違う雇用形態は認めたくない。これが、求人を出している側の本音です。
「嫌なら応募するな。」という姿勢があるような気もします。
確かに、企業側としては、雇用形態が多様化するのは労務管理が面倒だし、他業種からの人材なんて使えるかどうかわからないから、「経験者」を欲しがる。
要はめんどくさい訳です。
だから、日本では、労働力の流動性がない。労働生産性も高くならない。
ここまで経済が停滞しても、雇用制度は旧態依然としたまま変わらない。
10か所くらいの求人に応募して、すべて書類選考で落とされたときに、真剣に考えてみたら、「おそらく日本の労働市場は、定型的な『経験者』を求めていて、柔軟な雇用条件を提示をするつもりはない」と気づきました。
なぜ落とされたのかは問い合わせに応じてもらえませんから、あくまで推測にはなりますが、まず間違いないと思います。
これは、現在の日本の労働市場の大きな問題点だと思います。
ただ、日本の労働市場の問題点の解決は、政治家や経済界の偉い方々にお任せするとして、一個人としては、この状況を踏まえて、どうするかを考えなくてはなりません。
自分が今後のことを考えるにあたっては、やみくもに動き回るのではなく、まずは、現状、労働市場の状況を分析してみることは不可欠でした。
その際に、現在の労働市場の問題点を人に話したりもしたのですが、最初に書いたようなリアクションが色々なところからありました。フォーマルなところではハローワークの担当者、プライベートなところでは家族とかそれに準じる人たちから。
きちんと心配をしてくれているからこそ、「現状に不満ばかり言ってないで、なりふり構わず就職活動をしろ。」ということなんですけど。
心配してもらっていることは伝わってくるので、無下にもできないのですが、そういう人が人生の選択をする時に障害になることはそれほど珍しいことではないように思います。
そして、人生の岐路に立った時に、最も保守的な意見を言いがちなのが、最も身近な人、例えば親だったりします。
退職した時には、私はまだこのことに気づいていませんでした。
これから、退職を考える方は、明確に意識しておいた方がいいと思います。大きな人生の選択は、現在の人間関係を根本的に変える可能性があります。もちろん、プラスの場合もあれば、マイナスの場合もあります。
これまで親しかった人との関係がぎくしゃくするようになることもあれば、身近な人との関係が更に深まる可能性もあります。
このことも踏まえて、退職という大きな決断をされた方がいいと思います。
ただ、これは退職を思いとどまった方がいいと言っているのではありません。
退職を契機としての新たな人間関係が展開したり、違う価値観に出会うことができました。今後、更に人生が変わっていくのではないかと思いますが、そのことが自分の人生を豊かにしている実感があるからです。