スタイルのある生活~早期退職50代男子ハタさんの試行錯誤~

公務員を退職するに至る経緯からその後の生活まで

(コラム)ネット上の「中高年の労働市場は厳しい」という記事について ~記事も指摘しない労働市場の問題点~

「退職から人生再建へのモデル」の本文にも少し書きましたが、大手のサイトに時々中高年の転職市場に関する記事が載ります。その多くは、企業の人事担当者や転職仲介などを生業とする人が書いたものではないかと推測されます。

 

1 中高年の労働市場は厳しい。

2 転職等するには、自分の市場価値を知る必要がある。

3 前職の在職中にスキルを磨く必要がある。

 

要約すると、概ねこの3つの内容が書かれています。

更に結論として、現職に留まることを勧めるものが多い。

 

私も、こういう記事を随分参考にさせていただきました。とても感謝しています。

ただ、その反面、「ちょっと違うんじゃないか。」あるいは「忖度してあえて書いていない。」と思う点があります。

 

 

「中高年の労働市場が厳しい。」というのは事実です。

私が思うに、記事を書いた人が言う以上に厳しいというのが現実です。

私がそう感じる理由は、これらの記事の筆者の方々が指摘されるように自分の市場価値を知って、スキルを磨いたところで、状況は全く変わらないと考えられるからです。

 

なぜそんなことになっているのか、私なりの分析ですが、年功序列は崩れつつあると言いながら、労働法制は旧態依然としたもので、労働者の解雇は厳格に制限され年功序列、終身雇用を前提とした運用がされています。

また、多くの企業ではいまだに新卒一括採用が基本で、それ以外は基本的には例外的な採用です。だから、中途採用、新卒ではない人の採用は極めて限定的です。

ハローワークのサイトで求人票をいくつか見るとわかります。欠員補充の募集人数1名というのがほとんどです。

だから、一部の業界を除き、新卒でない限り、本当に少ない求人に応募するしかないのが現状です。

 

今回、実際に就職活動をしてみて、本当によくわかりました。

 

 

だから、繰り返しになりますが、自分の市場価値を正確に理解しても、スキルを磨いても状況は何も変わらないのです。

これは、求職者の責任ではありません。率直に言って制度がおかしい。

 

これは中高年の労働市場に限ったことではありません。

程度の差こそあれ、例えば、就職氷河期の時代の人たちや若くして退職を選択した人についても同じことが言えます。自分の市場価値を分析しスキルを磨き、就職活動をいくらやったところで、結果はほとんど出ない(正社員としての採用はまず無い。)。

 

 

年功序列ではない活力のある経済制度を整えなければならないけれど、人材が採用登用されるような制度の創設については、議論されているのかどうかすらわかりません。

 

 

このブログは、何かを批判して溜飲を下げることは目的にしていません。

ただ、転職や就職活動をするにあたって、理解をしておかなければならないことを発信したいと考えています。

ここで私が言いたいのは、年齢によらず転職や就職活動をされている方の多くは、特に責任はないにもかかわらず旧態依然とした制度が原因で本当に大きな苦労をされているということです。

そういう方に言いたいのは、それでも状況をできる限り正確に把握した上で、あきらめることなく人生を歩んでいこうと語りかけたいです。年齢を問わず、それぞれの立場で制度が壁となって報われないけれど、がんばっておられる方が、日本にはたくさんおられると思うのです。

 

 

他方で、転職、再就職関係の記事を書いておられる方々へ申し上げたいのは、現在の多くの記事では「自分の市場価値を分析なければならない」、「スキルを磨かなければならない」と無責任に(あえて無責任と言います。)書いてしまうことにより、それをしないから転職、再就職はうまくいかないのだというメッセージとなってしまうということです。

そう書く理由も、推測ですが理解できます。

「市場価値を理解してスキルを磨いても現在の制度では限界がある。」と書くということは、現在の政治や経済を動かしている人たちへの批判になるからではないですかね?そこに忖度が必要ということでしょうか?

 

もしかすると「転職なんて考えるのはやめて、現職に留まれ」という記事が多いのは、忖度しつつも、現状が本当はわかっておられるから、精一杯のメッセージを送っておられるのでしょうか。

 

 

私としては、ネット上に多くある転職関係の記事については、変に真に受けず、でも、正確な事実関係を把握して、その上で自分で人生を切り拓いていきたいと思います。

労働市場が改善されるとしても、おそらく今就職活動をしている私たちには関係ないでしょう。

私は、今活動をしている人に向け、現状を前提にどうやって生き抜くのかのメッセージを発信できるようがんばりたいと思います。