仕事をしていた頃は、1日があわただしく過ぎていきました。朝起きると仕事の準備をして家を出て、仕事が終わると疲れ切って家に帰り、食事など必要最小限のことをして寝るという生活の繰り返しです。こう書くとネガティブな感じもしますが、精神的にはいろいろ考える暇もなく、とりあえず目の前のことに没頭していれば、焦りや迷いを感じることはありませんでした。
退職をしたら、180度生活が変わりました。
仕事がないというのは、巨大な穴が生活に空いたようなものでした。
退職する時に、「完全にリタイアして、悠々自適に趣味に生きよう。」とは考えていませんでした。何をするのかは、退職してから考えようと思っていました。仕事をしていたら忙しすぎて考える暇もありませんでしたし。
最初はひたすら休んでリフレッシュすることに努めました。ただ、しばらくすると、だんだん、自分は何をしたいのかなということを考えるようになりました。
これは、自分の内的な気持ちが高まってきたというのもありますが、周囲の明示、黙示のプレッシャーを受けてやむを得ずという側面もかなり強いと思います。
周囲のプレッシャーの部分は、退職前には予想していない部分でした。
もちろん、老後の生活が心配な世の中ですから、そういう意味で何もしない訳にはいかないというのは理解しています。ただ、そうは言っても、預貯金などである程度の生活費をストックして退職生活に入っていますから、焦る必要は全くないのですが、
1 様々な人との会話の中で、「仕事はしないのか?」という質問を受ける。特に親しい人からは、明に暗に「そろそろ仕事しなきゃ」という雰囲気を込めた質問が繰り出されます。
2 自分のペースで仕事探しをしようとしていると、「退職から数カ月以上時間が空くと採用されにくくなる」とハローワークで言われたり、転職や派遣のサイトの注意事項に出てくる。
3 マンションの近隣のお年寄りからは、「今日はお休み?(なぜ昼間に家にいるのか?)」という質問を受ける。
などを経験しました。
「退職後は自分のペースで」というのは、当初から心に決めていましたので、動じなければいいだけかもしれません。現に動じてはいないのですが、でも、全くその影響を受けないかと言うと、そんなことはありません。
例えば、条件に合う求人があったのでハローワークで紹介票を出してくれるように電話したら、「そこだけですか?」と聞かれます。
普通は併行して何社も応募するんでしょうね。自信をもって「それだけで結構です。」と伝えるのですが、もやもやした感じは残ります。そんなことを繰り返していると、だんだん、もっと精力的に活動しなければいけないのではないかという気がしてくるから不思議です。
人間は、環境から大きな影響を受けます。
退職という人とは異なる人生の選択をするならば、こういうことが起こるということは覚悟しておいた方がいいかもしれません。
「『人生について試行錯誤をする今』を楽しむ」というのが理想なのですが、環境が、なかなかそれを許さない。
でも、一度しかない人生です。周囲の「将来はどうするの?」、「そんな生活していて大丈夫なの?」というネガティブな圧力には屈せず、精一杯楽しもうと考えています。
私は、とにかくそういうネガティブなことには近づかない、距離を置くことで対処しています。
金持ち父さんシリーズの著者でアメリカの大富豪のロバート・キヨサキ氏、レバノン系思想家ナシーム・タレプ氏などが言っていますが、人生の成功とはラットレース(枠の中での競争に汲々となっていること)から抜け出すことです。
人より早く、ラットレースから抜け出したのですから、今までの人間関係、日本的考え方とは違う、真に人生の幸せを追求できる考え方を身に着けたいと思います。