久しぶりの行動制限のない年末年始ということで、街は人で溢れています。感染者も急増していて心配ではありますが、そんなにステイホームばかりもしていられない。
そこで、人が大挙して押し寄せていなさそうなところはないかと考えて、三井記念美術館(東京日本橋)に行ってきました。
思惑どおり、土曜日の午前中の人出はまばらで、ゆっくり鑑賞できました。
「雪松図と吉祥づくし」という展示で、目玉は円山応挙の国宝「雪松図屏風」。
強烈に目を引きました。さすが国宝。
雪松図の展示された部屋に入った瞬間に息をのみます。知識としては知っていましたが、実際に見てみると迫力が全く違います。
空いているのをいいことに、展示室の真ん中にある椅子に座って観たり、立ち上がって観たり、近づいて観たりで、15分くらいながめていました。作品を独占しているようで、とてもいい時間でした。
企画としては、国宝や重要文化財がバンバン出てくるという程ではなく、雪松図が中心として、他はおめでたい「吉祥」をテーマにした作品が展示されていて、メリハリがありました。
東京丸の内に開館した静嘉堂文庫美術館が国宝、重要文化財の目白押しだったのも衝撃の迫力でしたが、それに比べると、雪松図をメインに据えたバランスのいい感じがすごくいいと思いました。
令和23年1月28日までやっているようです。
円山応挙は、京都画壇という江戸時代の美術の流れに分類されていて、狩野派に比して写実的と評されます。
犬の絵などが多く残っていて、精密に写生されています。同じ京都画壇には、伊藤若冲や曽我蕭白がいて、雰囲気は違いますが、「写実的」です。
でも、今回の雪松図屏風は、松の葉の部分は墨、雪は余白(紙のまま)にして写実的に描き、背景には金箔を貼って狩野派など日本画の伝統的な技法も存分に使っています。
次は、長谷川等伯の松林図。年明けに東京国立博物館に見に行きたいと思います。