例えば、日本の株式だけに投資していると不景気で株式が下がってしまったときには、資産を減らしてしまうことになるから、色々な国の株式に投資しましょうと言われます(地域リスク)。
ただ、この考えには、注意が必要だと、私は思います。
理屈ではそのとおりなのですが、資本主義経済を採用している国と言っても、日本はかなり特殊です。
国民性がそうさせるのかもしれませんが、国(政府)の介入が多く、純粋な自由競争はありません。自由競争であれば、本来、うまくいかない会社は倒産して市場から退場するのが大原則です。
でも、思い浮かべてみれば、大きな会社が倒産しそうになれば国を挙げて大騒ぎです。一つの例ですが、大手の銀行が倒産しそうになれば、公的資金、税金を投入してでも倒産させないようにします。
自由競争がないとどうなるのかと言うと、長期的に見て社会全体として市場が発展しません。
株式について言えば、日本の主な投資信託の値動きを見るとわかります。上がったり下がったりを繰り返しています。
根本的な話になりますが、資本主義経済というのは、どんどん市場の規模が大きくなることが想定されています。そうやって常に社会として利益を出し続ければ、社会全体として潤っていける。社会全体の景気が良ければ、給料も上がるし、社会的なインフラも整えられるということです。
これを株式という視点で見てみると、社会全体として株価が上がり続けるということです。そうでなければ資本主義社会は維持できないと考えるのが自然です。
統計的に見ても、1929年の世界恐慌以前から、市場規模は大きくなり続けており、株価の平均値は上がり続けています。
ただし、これは米国の統計です。
つまり、資本主義経済が理屈通りになっているのは、米国の市場です。ですから、個人としては、米国株式に広く投資している投資信託を購入すべきという結論になります。
残念ですが、日本は、自由競争の環境がなく、代表的なインデックスファンドでも値段が上がっていませんから、日本の株式(日本の株式に投資する投資信託)には投資すべきではないと私は思います。
地域リスクという観点から考えると、米国の市場は大きく、ここに広く投資しているのであれば、それ以外に投資する必要性は小さいものと思われます。
地域リスクとは、ある意味、日本株に投資することだと言ってもいいのではないかという気さえします。国としての経済政策が変われば、日本株への投資もあり得るかもしれませんが、当面、それは考えられません。
国を挙げて、国民を投資に誘導していますが、本当に大丈夫なのでしょうか。