忠臣蔵ご存じですか?知ってるに決まってますか?
実は、私、この年にしてあまりよく知りませんでした。
最近は減りましたが、一時は年末と言えばお金をかけた豪華キャストで、忠臣蔵ドラマが放映されていた時期もありました。そのころは働いていて忙しく、見る暇もありませんでしたし、何より古臭い勧善懲悪のストーリーをわざわざ見る気にもなりませんでした。
ただ、その印象が変わりました!!
史実をもとに徳川綱吉、柳沢吉保、吉良上野介、浅野内匠頭の人物がよく描きこまれて、主人公が歴史の流れに巻き込まれていく様子が伝わってきます。史実をもとにしていますから、当然、関連したいろいろな場所が登場します。
基本的には行ったことのある場所が多いのですが、頭の中でそれらの場所が結びつき、物語を再映像化されるような気がしました。
泉岳寺は赤穂浪士が討ち入り後に義士が終結した場所で、義士の墓があり、一般の方もお参りができます。
また敷地内には、赤穂義士記念館があって四十七士ゆかりの遺品などの展示があります。明治になってから天皇陛下が赤穂浪士を本当の武士という趣旨のことをおっしゃったことがわかる資料、実際に着用した鎖帷子(くさりかたびら)やちょっと衝撃的なところでは吉良上野介の首の受領書などもあります。
赤穂浪士のことをあまり知らないで来ると、記念館自体は小さいですし、人もあまりおらず、展示もそんなものかなという程度の感想だと思います。でも、小説を読んでから来ると、感情移入して見ることもできて、とても興味深いと思います。
500円です。(笑)
討ち入りのあった吉良邸は、両国駅のすぐ近くにあります。そこから隅田川沿いに南下して永代橋を渡り、現在の聖路加病院のあるあたり浅野邸を通って、泉岳寺に向かったとのこと。距離感も実感としてわかります。
花や散るらんを読んでから訪れてみると、登場人物たちが当時のしがらみや社会情勢に翻弄されながら生きていたことに思いを致すことができます。
吉良上野介にしろ浅野内匠頭にしろ、また大石や四十七士らについても、好むと好まざるとに関わらず、自らの立場を考えて動いています。
それに対して、主人公は架空の人物だと思われますが、「天を主君とする」と言ってできる限り政争から離れた場所で生きようとします。
世間や職場など組織の常識や理屈と関わらざるを得ないことはあるとしても、できる限り自分の意思で距離を置いて生きていきたいと思いました。
退職したらこそ主人公にストレートに感情移入できたのかもしれません。