退職を気にしだしたのは、二十数年前、長時間残業と強いストレスのある職場にいた時です。
でも、その職場にいるときには、仕事の終わった時に、なんとなく「どうしたら辞められるかなあ」と考えることはあっても、具体的に調べたり深く考えたりする時間はなく、気持ちの余裕もありませんでした。
本当に考えるようになったのは、体調を崩して休職した時からでした。30代のころで、ただただ転職先を検討していた記憶があります。
でも、「転職イコール人生のダウングレード」という日本の常識は今も昔も変わりません。結局、仕事を辞めて人生をやり直すという行動を起こすことはできませんでした。
ただ、この頃から、定年前に途中で退職するためには、お金が必要ということは強く意識するようになりました。
その中で、出会った本があります。
「日本経済の本当の話」、「日本は金持ち。あなたは貧乏。なぜ?」という本です。
著者は、両方とも、R.ターガート マーフィー というアメリカの経済評論家の方です。現在は筑波大学の名誉教授です。
かなり歯ごたえのある本で、忙しい合間を縫って読むのは難しいという意味で誰にでもお勧めできるものではありませんが、私はこの本を読んで衝撃を受けました(大げさでなく)。
働いても働いてもお金が貯まらず、定年まで会社に縛られる日本の社会、経済構造が明確に説明されていました。そして、結論として、投資を進める内容でした。しかも具体的、明確にアメリカのインデックスファンドを薦めていました。
当時は、今のように投資を勧めるような世の中ではありませんでした。投資=博打と考えるような人も多く、心理的なハードルは高い世の中でした。
ただ、その内容には強い説得力があったので、投資を始めてみることにしました。30代半ばの頃です。
それから20年以上やってみて思います。著者は正しかったです。
私の投資の考え方については、以前に書きましたが、R.ターガート マーフィー先生のこの本が基本になっています。二十数年前にこの本に出会っていなければ、退職を決断することはできなかったかもしれません。
最近では、厚切りジェイソンさんが本を出して、投資の方法としては同様のことをおっしゃっておられるようです。私は読んでいないので確実ではありませんが、書評や厚切りジェイソンさんの本を解説されている方の話を聞くと、投資を薦めるという点では概ね同じことを言っておられるようです。
私見ですが、こういう日本の社会、経済的な問題点を踏まえた提言などは、日本人からは出てこないようです。なぜなんでしょうね。