スタイルのある生活~早期退職50代男子ハタさんの試行錯誤~

公務員を退職するに至る経緯からその後の生活まで

(コラム)早期退職後1年半、ここまでの生活を振り返る。(4) ~現在の仕事について~

昨年(令和5年)11月に再就職をしました。

前職とは全く違う仕事、最大週4日のパート。

前職は法律関係の仕事でしたが、長くやっているとその業界だけのものの見方に固まっているのではないか?という漠然とした感覚がありました。

だから、違う仕事をして自分のすそ野を広げたかった。

 

実際に就職したのは小学生を相手にする職場です。現在、火曜日から金曜日の週4日、午後から勤務しています。

最初から、教育関係の仕事がいいとか考えていたわけではありません。20社以上の求人に応募して採用してくれたのが、ここだったというだけの話です。

 

前の仕事はフルタイムで仕事はパンパン、月に何度かは土日勤務や泊りの日もあり、それに比べたら、いくら知らない業界の仕事とは言え、楽になるのではないかと思っていました。

でも、実際に勤めてみたら、予想していたのとは大きく違いました。時間は短くなり、残業も土日出勤もありませんけど、児童を相手にするプレッシャーやストレスに押しつぶされそうになります。午後からの勤務ですが、フルタイムで勤務するくらい精神的には緊張していると思います。

 

人生、予想どおりにはいかないものです。

 

 

でも、前職とは違うやりがいがあります。直接接した児童が良い方に変わって行くのを間近で見られるのは大きな喜びです。先生ではありませんから、指導したり教えたりするわけではありません。でも、折に触れて一人一人と話す時間があります。

話した事がきっかけで、児童自身が自分で考えて「違うやり方」を実践しているのを見ることがあります。その結果、表情が明るくなったりしていると、「明るくなって良かった。でも、これからも大丈夫かな。」と、うれしい気持ちと心配な気持ちの両方が沸き上がってきます。

 

退職して他の業界に就職するというのは、自分自身にとっては、わりと大きなチャレンジでしたが、現時点では、違う業界に再就職して、本当によかったと思います。意外と楽ではないけれど。(笑笑)

 

 

現在の日本社会は、守りに入っていて、批判されないように、失敗しないように・・・という価値観が蔓延しています。個々人の人生も同様で、批判されること、失敗することを恐れます。

私たちの世代(60歳前後)にもなると、新たなことにチャレンジするなど考えられず、これまでの余禄で人生を終えようと考えている人が多い。前職の職場でも「定年まで逃げ切る。」という言説が多く聞かれました。とりあえず定年まで我慢して給料をもらって、その後は楽な人生を歩もうというわけです。

 

こういう態度は、社会や組織に良い影響を与えないばかりか、自分自身の人生をもつまらないものにするのではないかと思います。

日本の組織は本当に守りに入っています。建前ばかりが横行し、目の前の現実を見ようとせず綺麗ごとですべてを済まそうとする。同じ組織に留まっていては、チャレンジすることが、どんどん難しくなっています。

 

 

久しぶりに若者が主人公の小説を読みました。藤岡陽子さんの「いつまでも白い羽根」という小説です。

主人公は大学進学をあきらめきれないけれど看護学校に入学した19歳の女性です。「いつでも辞めよう」と思いながらも、次々課される課題をこなし、周囲と関わっていく中で様々な現実と直面します。必ずしも問題のある現実を若者たちが解決できるわけではないけれど、主人公たちは本当の現実を理解し、次に踏み出そうとします。

嫌々看護学校に通っている主人公は、最初は「チャレンジ」という言葉からは程遠い印象ですが、看護学校を辞めてしまえばやらなくて済む困難を次々と引き受け、成長していく姿は、現在の「働かないおじさん」とは一線を隔するものと私の目には写りました。

 

望んでも仕方のないことですが、次々と新鮮な経験をできる若者をうらやましく感じ、年齢を重ねてしまった自分は、自分自身で環境を変えて新たな経験を積んでいくのも、まあいいのかなと思ったりもしました。