1 異次元の少子化対策の内容(提言)
少子化対策のメニューについては、これから出てくるのだと思いますが、勝手ながら、個人的な提言を書いてみたいと思います。長くなるので2回に分けて記事をアップします。
最終的な結論としては、
1 保育、教育制度を見直す
2 年功序列、終身雇用制度を作り直して、労働力の流動性を高める
ということになります。今回はまず現状の問題点から考えたいと思います。
2 少子化をとりまく状況
私は、30年以上公務員として働きながら子供2人を育てました。私が子育てをしていた頃は育児休業制度がやっと整備され始めた時代で、夫婦共働きで「夫婦だけで」子供を育てるという人はまだまだ少ない時代で、男性の育児休業の取得率は1パーセントにも充たない状況でした。
他にも夫婦で働きながら子育てをしている人はいましたが、実家の援助などがある人が多く、「夫婦だけで」子育てをしている人は、まだまだ少なかったと思います。
お金の面では、医療費の援助や地方公共団体ごとの給付金などがありましたが、現在ほどではありませんでした。
これに対して、現在は当時に比べると育児休業制度のみならずそのほかの各種休暇制度も整い、制度の利用率、休暇の取得率も上がってきています。また、各種手当も、今回の少子化対策にもあるように充実してきています。
ある意味、国や地方公共団体も不十分との批判はあるにせよ、何もしてこなかったわけではない。
でも、出生率は下がり続けている。
3 少子化に向かう理由(何が子育てを阻んでいるのか)
子供を育てながら仕事をしてきた経験から、少子化になる理由に心当たりがあります。
「子供が生まれる」となった時、親はどう思うか。「これからこの子をちゃんと育てていかなければならない。」と思うのではないかと思います。
そういう思いを抱えながら1人目を育てますが、2人目をどうするかと考えた時に、現在の日本では、すぐに「是非ほしい」と思う人は、ほとんどいないのではないか。1人目を育てながら痛感するのは、
1 体力的な負担が大きすぎる
2 経済的、金銭的な負担が大きい
3 精神的負担が大きく、生活が硬直化する
ということです。
仕事に復帰するまでの間は基本的には母親任せです。実家の援助がない場合、夫婦で子育て全てをしなければなりません。仕事をしながら。
子供が成長して母親が仕事に復帰することになったら、次の問題は、保育園がなかなか見つからない。無事保育園が見つかって仕事に復帰した後は、仕事帰りに保育園に迎えに行き、夜はばたばたと過ごして翌朝また保育園に子供を連れていく。職場に着いたときにはへとへとになっています。それでも1日がんばって働き、その後また保育園のお迎え。
小学校に子供が上がると、保育園のように手厚く面倒はみてもらえなくなります。面倒を見てもらえないだけではなく、親に負担を強いる教育制度となっています。学校行事やPTAの負担も相当なものです。
さらに、現在の教育制度では満足な学力がつかないというのは公然の秘密のようなもので、だからこそ余裕のある家庭は必ず受験塾に通わせています。こういう負担も親が負わなければなりません。
現在、夫婦2人で子育てをしている人は、もっと言いたいことがあるでしょう。
当たり前すぎますが、体力的に、非常にきついです。
また、給料が全然上がらない世の中ですから、金銭的な負担はかなりのものだと思います。
国なども相当な予算を組んで給付金をバラまいていますが、焼け石に水。例えば、今回の東京都の給付金のように5000円が月々給付されたとして、どの程度家計の負担が減るでしょうか。ないよりはいいですが。
次に、この点は割と見過ごされていると思うのですが、子育てをしているとライフスタイルが固定化されます。
具体的には、仕事を辞められなくなります。どんなパワハラを受けても、どんな自分に合わない仕事でも、限界まで働いて、これ以上無理だと思っても、仕事を辞めてしまえば転職が著しく難しく、転職ができたとしても「転職した」という理由で給料が著しく減ってしまうからです。
子供がいなければ、転職してでも頑張れるとしても(本当は、それも難しいのが現状ですが)、子育てをしながらでは絶対に転職などできません。
言葉を変えて言えば、限界を超えて頑張ることを強要されるから、子供は作らないという選択になる。
日本の労働法制については、以前から問題点は指摘されていますが、本当に長い間、全然改善されません。
転職が著しく制約されるような現在の労働法制は絶対に見直されなければなりませんが、そこに、子育て少子化という視点も不可欠だと思われます。労働法制が、少子化を助長している側面に目を向けるべきだと思います。
この点は、これまでは「子育てとはそういうものだ」という思い込みで、触れられることもなかったのではないかと思います。
こういう状況で、だれが子供を2人、3人と育てようと思うでしょうか。