スタイルのある生活~早期退職50代男子ハタさんの試行錯誤~

公務員を退職するに至る経緯からその後の生活まで

人生の第一タームを終えた人の役割 ~映画「マイ・インターン」から学ぶこと~

映画「マイ・インターン」を見ました。

ご覧になった方も多いと思います。

人生の後半戦、第二の人生のイメージを作るためには、格好の映画だと思います。

 

 

かつての日本の社会は、定年が55歳でした。退職すると職場から離れ、年金だけで生活をするというイメージでした。

ところが現在は会社員や公務員の定年は65歳、これからは70歳と延びていきます。

でも、70歳になっても、年金だけでは足りない。だから、働けるうちは70歳を超えても働かないといけない。

これが今の日本社会です。

 

こういう状況の中、50代、60代の公務員や会社員は、将来の不安に押しつぶされそうになり、他方で、役職定年や再雇用などで、かつての部下が上司となることは珍しくない。

モチベーションは低下し、「働かないおじさん」として組織のお荷物になっています。

 

 

私は、昨年夏(令和4年7月)に職場を早期退職して、これからの人生を模索してきました。前職では「働かないおじさん」を目の当たりにして、現実に幻滅し、そうはなりたくないと強く思いました。

 

 

早期退職する前から感じていましたが、「働かないおじさん」たちには、第二の人生のイメージがありません。それなりに苦労して現役時代を過ごしてきて、「退職したら悠々自適といきたけれど、時代が許さない」とか「もう苦労はしたくない」とかいう考えで頭が満たされています。人事関係の面談で「今後どういう目標を持って仕事をしていきますか?」と問われても、「これまでのスキルを活かして、後進や組織の役に立っていきたい」と通り一遍の目標を掲げ、現実には、日々のルーティンをこなすだけの日々を重ねています。

こういう「おじさんたち」(性別は問いませんが)が、組織、ひいては社会の役に立たないことは火を見るよりも明らかです。

 

自分が役職退職となったり、定年延長で組織に留まることになった場合、更に退職した後に、組織や社会に対して、どう役立っていくのか考えることは、現代の日本の社会では極めて重要な課題です。でも、そういうモデルが、日本社会では示されていません。

 

 

映画「マイ・インターン」では、ロバート・デ・ニーロ演じる主人公が、定年後に若者ばかりのベンチャー企業インターン(見習い雇用)でやって来ます。最初は、若者ばかりの環境の中、浮いていましたが、誠実で穏やかな人柄で職場で一定の(無くてはならない)役割を獲得していくという物語です。

主人公のベンは、決して、過去の自分の経験をひけらかすことはなく、上司の指示には素直に従い、しかし他方で、役に立つ状況であれば控えめではあるけれど、要所を押さえた働きぶりで、次第に職場でなくてはならない存在になっていきます。

 

 

現在の日本社会では、シニアの立ち位置については議論もされていませんから、こういうイメージを持っている人は少ないのではないかと思います。

現在、私は、幸いにして退職後、就職をすることができました。

シニアを積極的に採用しようとする職場であるため、私も採用してもらうことができました。本当に感謝しています。

 

ただ、採用されて間もないのですが、強く感じることがあります。採用されているシニア層の人たちが不満でいっぱいということです。

その原因は、自分たちの過去の価値観が現在では通用しないことです。また、現役時代のように期待もされていません。

 

何となく昔が良かった、今の時代は間違っている、そう思っていることが伝わってきます。

そう思いたい気持ちはわかります。でも、時代は変わっています。

自分の価値観や倫理観の中に今の現実を押し込むことはできません。そうではなく、それとは逆に、今の現実を前提にこれからどうしたらいいのかを考え、その中で自分の経験が役に立たないかを考えることが重要だと思います。

 

 

ベンは、自分の経験や価値観を若者に押し付けません。

若者と一緒に苦労し、過去の経験で役立つことがあれば若者に提供します。あくまで現実優先です。恋に悩む若者に説教はしませんが、涙する女性にハンカチを差し出すことを提案します。

 

 

今、私は好んで従前とは違う世界に飛び込みました。

現状はそのまま受け入れ、何か自分の経験したことで役立つことはないか考えながら仕事をしていけたらいいなと考えています。