昨年夏に退職をしましたが、多くの人から、「なぜ退職するのか?」という質問を受けました。
「退職するんだから、そんなことはちゃんと考えているんだろう。」、そう思われていたのだと思います。まあ、普通そう思いますよね。
でも、今だに、なぜ退職したのかということを、私自身は考え続けています。
職場に長時間、拘束されたり、無理な仕事を押し付けられたりしたことで、「退職しよう」と思ったのは事実です。職場環境が最悪だから辞めようと思った。
でも、これが理由なのかと言われると、違和感がある。「退職したい」ということはずっと前から考えていて、職場環境が最悪というのは、きっかけにすぎない。
問題は、なぜ長時間拘束されたり、無理な仕事を押し付けられるのが嫌なのかというところでした。
人生の転機を迎えてある道を選択するとき、その理由を必ずしも説明できなければならない訳ではないけれど、私は、すごく気になっていました。なぜなら、今後の人生に大きな影響を与えそうだから。
自分はなぜ公務員生活に見切りをつけて、今の生活に舵を切ったのかということを自分の中で明らかにして、これから何をするのかを考えることは、自分の人生の羅針盤のようになるのではないでしょうか。
仕事をしている時は、こんなこと考えたこともありませんでした。
思い返してみると、朝、通勤しながら「この朝の時間って貴重なんだけどな。一番頭が働く時なのに、通勤して仕事をしている。この時間を有効に活用することは、自分の人生に大切なんじゃないか。」、「できるはずのない量の仕事や無茶苦茶な要求をされても、本当に自分のやりたいことであれば、無理してでもやるのではないか。」とか、考えていました。
「これまでの人生で何が楽しかったか、人生の棚卸が必要」というのは、よく言われることです。私も、そういう人生の棚卸をやってみました。「やりたいこと」って何だろうと考えてみた。
最初は1日、2日じっくり考えて・・・と思っていたのですが、これが予想外に時間がかかる。
「自分はこういうことが楽しい」とか「こういうことをやりたい」とわかるには、すごく時間がかかるものなんですね。
棚卸の結果、自分の特技というかスキルというのは、以下のような感じでした。
1 ずっと法律関係の公務員をやってきたから、法律(特に手続関係)に関すること
2 報道や国会の対応、広報などの経験は有意義だったと感じるから、人と接すること
3 見学の案内や広報の行事で小学生などとの関りは楽しかったし、プライベートでも野球のコーチの経験があるから、子どもに何かを教えたり案内すること
4 仕事上、後進の指導をすることに大きなやりがいを感じたから、人に何かを教えたり、人を成長させること
5 それなりに勉強をして金融資産を築くことができたから、経済に関すること
6 メンタルで苦労した際に役に立つように学んだ心理学や宗教に関すること
7 どんな時もやめないで続けてこられたテニス、芸術鑑賞、歴史を感じるところへの一人旅などの趣味
ここから、今後の人生で役立てたり、楽しんでいけることを導き出す訳ですが、1の法律はやり切った感じはあるし、メインに据えるものではない。
2~4は、人とのコミュニケーションが前提となるもので、3つ並ぶということは、それなりに人生においても重要なことに繋がる感じがする。
5、6は、これからも勉強して伸ばしていけるといいなと思う。
7は、これからも間違いなく続けたい。
仕事をしていた頃は、2~4については偶然そういう役割が割り振られれば一生懸命やっていましたが、自分の意思で選べるものではなかった。だから、今後仕事などを選ぶ際も、何かこういうことと関わる様なもの(教える、学ぶ環境を整えるなど)をやりたいのかもしれない。
こんな感じで1年間考え続けた結果、今、「退職した理由」を説明すると、「人に教えたり学ぶ環境を整えたりすることがしたい。また、これまでやってきた経済、心理、宗教などの勉強を続けたい。更に、運動や旅行などの趣味をもっとやりたい。そのためには、仕事をしていては、全然時間が足りないから退職した。」ということになるのではないかと思います。一言で言えば、仕事以外にやりたいことがある。
こういう方向性で人生を歩んで行けば、更にやりたいことが出てくるし、それは具体的な形になっていくんだろうな・・と思っています。