スタイルのある生活~早期退職50代男子ハタさんの試行錯誤~

公務員を退職するに至る経緯からその後の生活まで

退職から人生再建へのモデル(4) ~労働市場の現状 その2~

前回は、労働市場の現状について、報道されていたり、ネット上に溢れている情報をもとに分析してみました。

結論としては、

(1)運送、介護などの一部の業種では、人手不足が深刻で、多くの求人がある。

(2)運送、介護など「以外の業種」では、人手不足であることは同じだが、求人は少ない。

 

今回は、実際に就職活動をしてみて、わかったことを述べてみたいと思います。

 

1 求人票から見えてくるもの

現在、公務員や会社員で組織に属して働いておられる方が、退職後の就職活動、職探しと言われて、まず思い浮かべるのは間違いなくハローワークではないでしょうか。私も、いろいろ試していますが、メインはハローワークの求人を調べて、条件に合うものに応募してみています。

 

ハローワークの求人票は、登録等をしなくてもネットで見ることができますから、見てみるのもいいと思います。私も退職前から見ていました。

最初の印象は、「年齢不問」、「資格不要」という求人は多い。自分の前職と関連する業界の求人も多い。

 

これだけを見れば、そんなに就職に苦労しないのではないか、とも感じられます。

ただ、私の場合、ゆうに10回以上応募して、すべて書面審査で不採用でした。

 

2 ネット記事などの労働市場分析とその評価

求人票上は条件にあてはまっているのに不採用になるのはなぜでしょうか。

ネット上の記事などでは、中高年の転職や再就職について、「市場は厳しい。求職者本人が自分の市場価値をきちんと分析し、我儘なこだわりを無くさないと、転職(再就職)はおぼつかない。」と言っているものがほとんどです。また、「そもそも年齢の高い人材をわざわざ採用しようとする企業などない。」ということも多く述べられています。

 

一般論としては、間違ってはいないことが述べられています。

ただ、現在、このようなネット上の記事については、不快感を禁じ得ません。

これらの記事の論調としては、「中高年なんか需要がないことは当たり前だと認識もせず、自分に市場価値がないこともわからず、我儘言っている求職者」という人物像を前提にしてます。記事は「アドバイス」という体裁を取りながら、求職者の心得違いの帰結として再就職ができないというニュアンスのものが多く、事情があって再就職や転職を考える人を見下し、その立場に立って考えてるとは到底思えないものが多数存在します。

 

私は、そういう記事について変に真に受ける必要はないと思っています。

ただ、一般論として、

(1)中高年など雇いたくないのが企業の本音

(2)自分の市場価値を認識できていない

(3)我儘なこだわりを持っていると採用されない

という点について、少し掘り下げて考えてみます。

 

(1) 中高年など雇いたくない本音

一般論として、中高年よりも若者の方がいいことは否定しません。

中高年は体調を崩すことも多くなってきますし、採用してトレーニングしても使える時間が短い。

ただ、一般論としてはそうなのですが、現実に何人かの人が求人に応募してきたとして、きちんと仕事を処理する能力のある、人柄のいい、健康にも気を使っている人物であれば、応募してきた人の中で比較した結果、中高年の人が採用されても、全然不思議ではないと思われます。

でも、現実はそうではありません。

定型的に、中高年の応募は不採用としているのだと思われます。

 

(2)自分の市場価値を認識できていないこと

市場価値って一体何でしょう。

 

前職では結構長い期間、多くの「採用されて間もない人」を指導する立場でした。その時に、「労働市場において、本当に組織としてほしい人材とは、どんな人だろう。」と考えたこともあります。

まず、専門性のある職場では、そういう専門性があること。資格があるとか、専門的な経験、知識があることです。

専門性以外の部分では、ざっくり言えば、人間性

 

専門性の部分は履歴書などでわかると思います。

でも、人間性の部分は、本当は実際に働いてみないとわからない。職場でコミュニケーションが円滑に取れるか、人を巻き込んで意見調整ができるか、立場をわきまえた振る舞いができるかなど。面接でわかるとも思えません。

 

「市場価値を認識できていない」と難しい言葉で言われていますが、要は、

(1)求人で要求されている専門性やスキルがあるかどうか

(2)職場に合った人間性を備えているかどうか(コミュニケーション能力、調整力、柔軟性など)

 

確かに、求職活動をするまではなかなか意識しないことかもしれません。ただ、常識的に考えれば、多くの人が自分の市場価値は理解できると思われます。

 

(3)我儘なこだわりを持っていること

参考までに、私が職探しの条件として挙げていることは、週3~4日勤務(これは絶対条件)、あとは現実的な職の種類として、公務関係もしくは法律関係という程度です。給料としては月10万円程度。

前職が管理職だったからと言って、そんなことにこだわりませんし、法律、公務でなければだめだとも思っていません。10万円を切っても構いません。

しかし、この条件で半年間探して応募してみましたが、ゆうに10か所以上から不採用の通知がありました。

それほどわがままな条件ではないと思うのですが・・・。

多くの人が、不採用という結果をつきつけられていると思いますが、それがその人の我儘によるとは、私には思えません。

 

3 労働市場の現状のまとめ

中高年代表として(?)、求職活動をしてみて、大体イメージできたのは、求人を出している企業などには来てほしい人の人物像があるということです。

言葉を変えていえば、応募者の中から条件を比較して、より能力の高い人、結果を出せそうな人を選ぶのではなく、従前働いていた人と同様の人物像を描いて求めている可能性が高いと思いました。

そうなるには理由があって、前回述べたような労働法制の問題もありますし、人事のメンタリティの問題があります。一旦採用したら、めったなことでは解雇できない。だから、採用に当たっては、決して冒険はしない。ずっと、そうやってきた。

本当に仕事ができるかどうか、結果が出せるかどうかは問題ではなく、従前と同じような人を求めることになります。おそらく、年齢、性別、経歴など形式的なところは、1つでもずれていればアウトだと思われます。もし、これまでと異なるような人を採用して何か間違いがあったら人事は責任を問わるのではないでしょうか。

 

 

例えば、年齢58歳、男性、30年以上公務員として働いてきた。こういう経歴の人が普通に働いている職場が思い浮かぶでしょうか?そういう人物像は、求人を出している企業などには、普通はないのです。

 

こういう労働市場のあり方、各企業の人事政策のあり方について、批判することは私の目的ではありません。ただ、こういう現状を前提に、自分自身はどうしていくのかを考える必要はあると思います。

次からは、「だから、日本はだめだ。」とか「退職はすべきでない。」とかではなく、どうやっていけばいいのかを考えたいと思います。