スタイルのある生活~早期退職シニア男子ハタさんの試行錯誤~

公務員を退職するに至る経緯からその後の生活まで

第3回:問題提起編「今の日本経済一体何が問題なのか?」

日銀の当座預金金利が31年ぶりに1%になったとニュースになっていることに関連して、日本の経済情勢について掘り下げています。日本の経済を理解することは、個人がどういう投資戦略を取るかの重要な前提になると私は考えています。

日銀の役割は前回の記事で考えましたが、日銀の役割との関係で金利1%ということをどう見たらいいんでしょうか。何か問題があるんでしょうか?

 

1 金利がこんなに低くて大丈夫なのか?

前回触れたように、日本の金利は諸外国と比べると最低水準です。アメリカが4%弱。ここで考えてみると、民間の銀行に預金をする場合も、日本よりアメリカの方が金利が高くなります。とすると、様々な要因はあるものの、単純に言えば、日本で預金するよりアメリカで預金した方が金利が高くて得をします。だから、円が売られてドルが買われる動機となる。そうすると円安圧力が高まる。

現実に今、円安の流れが止まりません。そして外国から購入する時に原材料費が割高になっています。だから、日本国内の製品は原材料費が上がることで値上げをせざるを得なくなります(コストプッシュインフレ)。

これが、国民全体の負担を増やしています。「金利が1%になって住宅ローンの支払いが大変」などと金利を上げることを批判している場合ではありません。

 

2 そもそもなぜ日本の金利はこんなに低いのか?

ここに日本の特殊事情があります。日本はバブル経済が弾けてから30年余という長い間、経済が成長しませんでした。政府は何とか経済を浮揚させようと積極的に経済対策を打ちました。でもそれでも景気が回復に向かわない。

一方、日銀としても構造的に物価が下がっていた(デフレスパイラル)ので、金利をどんどん下げていき、ついにはゼロ金利、マイナス金利まで下げたわけです。「異次元の金融緩和」と言われる動きの一部です。民間の銀行がいくらでも融資しようとしたらできるようにした。そして、それはごく最近まで続いた。

だから、基本的に日本の金利は低い。

 

3 なぜ金利1%があたかも高いかのように言われるのか?

「金利1%は高い」と報道されたりするは、30年もの間金利がゼロとかマイナスだったから、「それに比べたら」という意味合いはあります。でも、それ以外にも理由があります。

 

まず、経済対策を行う政府としては、金利が高くなると市場に出るお金が少なくなって、景気刺激策を打っても効果が相殺されてしまいます。だから、できるだけ金利は低い方がいい。政府と日銀は対立する関係にあるわけです。

だから、金利1%であってもそれが問題だというイメージ操作をするような記事が出てくる。推測ですけど。特に、現在の政府は積極財政政策を取っていますから、ここで金利を上げるとそれに水を差される。

 

4 日銀は更に金利を上げられるのか?

(1)物価が上がり始めてから相当の期間、日銀は金利を上げませんでした。ここに来てやっと上げたという印象です。しかも、今回金利を1%に引き上げるのも植田総裁が病気休暇中に審議委員の多数決で決まったという経緯がある。このことは何を意味するのか?

(2)日銀は、今、相当難しい立場にあると思います。

失われた30年の間、政府と日銀はある意味協調していた。大局的に見ると、日本の経済の停滞は明らかだから、政府は積極的に財政政策を打って市場の通貨量を増やした。日銀もデフレを脱却するために金利を下げて通貨量を増やしてきた。政府と日銀は事実上の協力関係にあったから軋轢は無かった。もちろん、日銀はマイナス金利とかその他の極端なことを本当にやっていいのかという逡巡はあったと思います。でも、基本的には概ね世の中から求められることをやっていたと言える。

ところが、今、日本の株価が上がり始めて、物価も上がり始めた。そうすると日銀は金利を上げて、通貨を減らす必要がある。

ただし、ここで問題が出てきます。株価が上がり物価が上がり始めることは、通常であれば景気が回復基調にあることを意味します。しかし、今の日本では賃金が上がらない。だから、政府は積極財政政策を取って何とか賃金が上がるところまで景気を良くしたい。だから通貨の量を増やしたい。

(3)この矛盾した状況をどうしていくかという大きな課題が今の日本にはあります。

物価の抑制のためには日銀は金利を上げなきゃいけない。だけど、政府に気を使って現実問題上げられないというジレンマがある。だから、物価はまだまだ上がる可能性があるけれど、今後日銀が金利を更に上げられるかどうかは、不透明です。

どうするのか、日銀の中でも意見が割れているんだと思います。日本経済全体を見て政府にある程度忖度をする意見がある一方で、日銀本来の役割である物価の安定を重視する人もいる。今回利上げに賛成した委員は物価の安定を重視したということでしょう。

 

5 なぜ株価が上がるのに賃金が増えないのか?

さらに根本的な問題として、株価が上がっていて企業の業績が良くなっているのに、賃金が上がらない構造があります。これは別の記事にしたいと考えています。

 

6 日銀が金利を上げられないもう一つの理由

日銀が金利を上げられない大きな理由がもう一つあります。国債問題との関連です。

これも別記事にします。

 

大枠としてはこんな感じで、日本経済には多くの問題、課題があります。

だけど、メディアはこれを報じることはほとんどありませんし、メディアに登場する専門家もきちんと説明しない(意図的?)か、説明しても専門用語を使ってけむに巻く。そういうことをやっているように見えます。

次回以降、日本経済の問題点のうちでも、もっとも大きいと考えられる点について、私が考えたことを書きたいと思います。これは、私が日本の株式等に投資をしない理由と重なります。