2022年の夏に33年余り勤めた役所を辞め、それから3年が経過しました。現在、61歳。
1 国や社会が想定するシニア世代のライフイメージ
少し前までは、シニアと呼ばれる世代は、「定年退職をしたら、年金をもらってのんびり生きていく。」という漠然としたイメージがありました。
でも、年金について2000万円問題が喧伝されたあたりから、「そういう老後のイメージでは、これからは通用しない。」という雰囲気が出てきています。「年金だけでは足りない。」と言われ、更に「2000万円の貯えでも足りない。」と言われています。
だから、・・・。
(1)投資をしなければならない。
(2)働けるうちは働かなきゃいけない。
数十年前と比べると平均寿命は延び、シニアと呼ばれる世代の人たちも元気になってきました。他方で、人が長生きするようになるにしたがって年金の原資は枯渇しようとしている。
だから、「国民一人一人が長生きした分長く働いて、年金制度を支えていかないといけない。長く働けば預貯金も増えるだろうし、投資をしたら更に利益が出るかもしれない。」
という理屈です。
2 シニア世代の現実
(1) 投資について
国を挙げて投資が推奨されています。年金も安泰ではないから、自己責任で資産を作れということです。
そういう状況の中、トランプ大統領が進める相互関税政策をきっかけに株価が乱高下したりしています。日経平均が上がったとか下がったとか大騒ぎです。
オールドメディアは、様々なことを言いますが、結局「投資は元本保証がない。自己責任で。」と結びます。ネット上では真偽が疑わしいものを含め夥しい数の情報が流布されています。
結局、どうしたらいいのかわかりません。
(2) 定年延長について
職場は、純粋に仕事が増えていることに加えて、子育て世代をサポートしたりメンタルダウンした人の分まで業務の肩代わりしなければならず、誠実に仕事をしようとする人に限度を超えて仕事が集中しています。
他方で、定年が延長され「働けるうちは働いてもらう。」ためにシニア世代の労働者が増えています。だから、シニア世代がそういう負担を積極的に引き受けるかというと、そんなことは全くありません。
給料は少なくなるし降格もするからモチベーションは低く、「働かないおじさん」となっているからです。
そういう職場で働くストレスは計り知れない。
(3) これからの社会のイメージ
見通しが著しく不透明な投資に財産をつぎ込み、他方で組織のお荷物になっても今の職場で惰性で働く。これがこれからの第二の人生のイメージです。
こういうシニアのライフイメージ、どうなんですかねえ?
おそらく、国の制度に乗っかって最後まで頑張っても、70歳でリタイアする時には既に体力も無く、場合によっては仕事のストレスで体を壊している。そして、付け焼刃で始めた投資が本当に資産を増やしているかは怪しい。最悪、年金と少ない貯えを切り崩しながら、(足りるかどうかビクビクしながら)つつましく生活していくしかない。
3 今、シニア世代がやるべきこと
いつまでも将来の不安を抱え、職場のストレスに圧し潰されそうになりながら、惰性で働くことには見切りをつける。これも、一つの考え方だと思います。
考えてみれば、従来の定年退職(60歳)前後の年齢の人は、仕事に疲弊しきっていなければ、「自分はまだできる。」という感覚を持つのではないかと思います。若いころに比べたら体力も落ちたけれど、ここで人生をあきらめる必要はない。
そうであれば、社会にぶら下がるのではなく、本当に自分がやるべきことを探すことにもっと時間をかけたり注力してもいいのではないかと思います。
また、そのためには金銭的な基盤もきちんと作らなければいけません。
国や社会、メディアやネット、投資会社や銀行・・・の言うことは疑い、投資について自分自身で勉強して、「なぜ資産を増やせると言えるのか。」を自分が納得するまで学ぶことが必須です。
自分の人生を賭けて、今、注力し時間を割く必要のあることを間違えてはいけないと思います。