組織に属している頃は、人間関係が組織によって決められていました。配置替えや転勤、昇進などで周囲の人が変わり、与えられた人間関係の中で波風を立てずに仕事をしていくことが求められました。一定期間は人間関係が変化することはない世界。
でも、退職すると、人間関係は自分で選び、随時、様々な形を作る必要があります。
退職してからしばらくは、人間関係については「去る者は追わず来る者は拒まず」のスタンスでやっていました。1年くらい経った頃から違和感を感じるようになってきました。時々、ひどいことや余計なお世話・・という感じのことを言われる。
少し前「NIMBY」について書いたのがそれです。
組織に属さなくなってからは、人間関係を切り捨てる自由があります。距離を置いてもいい。NIMBYとはできるだけ距離を置くようにしています。
具体的には、私の生き方を否定する人、私を殊更下に見ようとする人などとは付き合わないようになりました。「そんなことできる訳ない。」とか「どうしてやらないのか。」と言う人たちです。組織にいる当時は説得したり、受け流したり、いろいろ苦労しましたが、もう、そんなことをする必要はありません。
反対に、付き合いたい人にはこちらから声をかけて交流をするようにしています。そして交流するについては、様々なグラデーションがあっていいと考えています。
職場のように一定の人と毎日顔を合わせる訳ではないので、どのくらいの頻度で会うか、どの程度のことを話す間柄になるか、何をして一緒にすごすか等々について、その人その人で決めていけばいい。家族でも同じ。同性でも異性でも。年齢も関係ない。
本当に自由です。
仕事を辞めてすごく親しくなったご夫婦がいます。数カ月に1度のペースで自宅にきてもらったり、お宅に伺ったりして楽しい時間を過ごしています。でも日常的に会う訳ではありません。
もとの職場(公務員時代、小学校時代)の知り合いも、本当に共に時間を過ごしたい人とは定期的に飲みに行ったりしています。元同僚の息子さんと親しくなり彼が数カ月に1度は泊まりに来るということも始まりました。若い子育て世代の人とはお子さん込みで過ごすこともあります。
趣味のテニスのグループでもテニスをする以外にも付き合いがあります。
共通するのは、一緒にいて楽しいこと。そうでない人とは距離を置きます。
家族関係も変化しました。
本当は、仕事が忙しくてもきちんと考えるべきことだったと反省していますが、結果的に退職が契機となって見つめなおすことができました。
離婚した元の家内との関係も変化してきています。仕事をしていた時は、離婚当時と変化なく険悪な感じでしたが、そういう自分の態度を改めました。
従前は子どもとは時間をかけて一緒に過ごすことができませんでした。現在でもつかず離れずですが、でも、たまに長男と2人で旅行に行くこともあるし、地方の次男のところに行くこともあります(一応、快く迎えてくれます。笑)。
親は、年を取るにつれて頑固になり私がイライラすることも多かった。でも最近は比較的距離を置いてうまくやっています。ストレスは減りました。退職後にじっくり考えて、親とは余計なことは話さないようにしました。高齢のせいもあり、こちらの考えを伝えても理解が追い付かないことも多くなったから。現在の私の生活(定職も無く、試行錯誤する生活)についてもわからないと思うので伝えませんし、実は公務員を辞めたことも話していません(笑)。その代わり、親の家を訪ねることは増えました。
仕事をしていた頃に比べて、それぞれの人間関係について丁寧に考えて付き合っていくことができるようになりました。
これも早期に退職に踏み切って良かったことだと思います。