政府が旗を振って、各自が投資をするように誘導しています。
これって、どういうことでしょうか?
メディアでは、年金制度がうまく行かなくなってきて、国民に自助努力を促していると言われます。流行りの自己責任です。
必要性としては、間違ってはいないと思いますが、投資をすべき本質的な理由は、そういうことではありません。
日本やアメリカ、ヨーロッパの西側と言われている国々は、資本主義経済制度を採用しています。
これは会社が競争をして利益を出すことで社会全体としてもうまく行くという考え方に基づいています。根本的なことを言えば、会社を中心に社会全体で利益を出して、その利益で国民が裕福に暮らせていけるようにする仕組みということもできます。
自由な競争のもと会社に利益が出ると、そこから従業員に給料が支払われ、株主には配当金が支払われます。
これをもう少し詳しく考えてみます。
会社の利益から給料も配当金も支払われるのですが、利益が多くなればなるほど、配当金は増えます。でも、給料は増えません。
給料は労働の対価だからです。会社に利益が出るかどうかは関係ないのです。ここは重要なポイントです。
一生懸命働いている人の感覚からすれば、大きく利益が出たのは誰のおかげでしょうか。色々あるとは思いますが、一生懸命働いている人のおかげではないでしょうか。でも、給料としてはその利益は還元されないのです。
だから、そういう人に利益が還元されるためには、株式を所有している必要があります。
これが資本主義社会の仕組みであり、株式を所有しなければならない(=投資をしなければならない)理由です。
年金云々の話は、全く副次的なものです。
日本は資本主義経済制度を採用している訳ですから、本来、投資を積極的に推奨する必要がありました。ただ、日本は諸事情からそういうことをしてきておらず、だから年金制度の破綻の可能性が取りざたされた際に、あわてて投資を推奨したということだと思います。日本が投資を推奨しなかった諸事情(投資しなくても貯金しておけばよかった事情)については、過去の記事に書いたとおりです。
「何を今さら」という感じですが、国民サイドとしても基本的な仕組みを理解せずここまで来てしまったので、早急に対処する必要があります。
今からでも遅くはありませんから、積極的に貯蓄を投資に切り替えていくことがよいのではないでしょうか。