スタイルのある生活~早期退職50代男子ハタさんの試行錯誤~

公務員を退職するに至る経緯からその後の生活まで

うつ病を機会に心理学を学んで、ストレスフルな職場にも耐えられた話

平成12年末からうつ病を患い、令和4年7月いっぱいで退職するまでの間、実に22年、我ながら、よく頑張ったと思います。

体調を崩してからは心の支えにするものがほしくて、いろいろな本を読み漁ったりしました。心理学、哲学、宗教などの分野は、振り返ってみると本当に役に立ったと思います。

 

ただ、概ね即効性はありませんでした。

(当時は本当にそう痛感していました。笑笑)。

 

でも、即効性のないことを積み重ねると人生が変わる、即効性のないことを積み重ねないと人生は変わらないということが、今ならわかります。

 

うつ病になるという経験を機会に、フロイトユングアドラーという無意識の心理学の巨匠を知りました。一時期は随分はまって本を読みまくりました。

結論としては、心理学はまだるっこしいけど、学んでよかったと思います。

 

最初は、河合隼雄先生の「ユング心理学入門」。マーカーを片手に一生懸命読み込みました。フロイトの「精神分析入門」「夢判断」も読みました。3者の比較で、アドラーのことも知りました。

今思うと、苦しい時期にそんな心理学を専門とする人が読む本を読んでどうするんだと苦笑するしかないです。どれも、体調を崩してから泥縄で読むような本ではありませんでした(笑)。

 

でも、長い目で見ればよかったと思います。

例えば、巷には、「もう我慢できない時に読む本」みたいなノウハウ本が溢れていますが、そこに書かれていることを深く理解できるようになりました。

例えば、ノウハウ本に、社会的常識や幼少期の体験の例を挙げながら、そんなことに縛られる必要はないですよとか書いてあるのは、フロイトユングアドラー深層心理の考え方を前提としています。

私自身、いろいろなことを理解にするのに、本当に役に立ったと思います。

 

1 フロイトの無意識の意識化という考え方

フロイトの考えは、無意識下にあるものを意識化することで、問題が解決するということでした。必ずしも、そうはならないこともあって、ユングフロイトと決別して違い理論を構築するのですが、ただ、フロイト理論が有効な局面も結構あると思います。

 

最近、いろいろな本で指摘されているのが、限度を超えて働き続ける人は、『無意識に「がんばらないと愛してもらえない」という考えが刷り込まれていて、どんなに理不尽な環境でも頑張ろうとしてしまう』というのもそれです。

 

『無意識に「がんばらないと愛してもらえない」という考えが刷り込まれていて、どんなに理不尽な環境でも頑張ろうとしてしまう』というパターンにはまっている人が、その刷り込みを自分で意識することで、自然にがんばってしまうような行動を変えていくことができるというのが、最近よく見る分析です。これはすごくフロイト的だと思うのです。あくまで、素人の私の解釈ですが。

 

自分自身が退職の決断をしたとき、「もうこれ以上がんばらなくてもいい」と確信したのを覚えています。

「がんばらなきゃいけない、がんばらないで生活していけるような虫のいいことを望むのは悪いこと」という考えが自分を支配していたことに気づきました。そして、「同じ考えに支配されたまま違う職場で働いても、今と同じ問題に悩まされる。人生が変わることはない」と納得できたのです。

すごくシンプルに納得して、気持ちがすっきりしたのを覚えています。

 

2 ユング共時性シンクロニシティ)の理論

ユングの唱えた理論で、「因果関係では説明できない意味のある偶然の一致」というもので、例えば(めちゃくちゃ簡単に言うと)、人のうわさをしていたらその人が現れるというようなことです。

 

無意識の意識化も共時性も、学術的に説明しようとしたら、それはまあ難しいです。

その上、共時性の考え方は、あまり科学っぽくなくて、初めて知った時は「そういうもんかねえ。」くらいにしか思えませんでしたが、退職した時のことを考えると、ユングの言うとおりだったという気がします。

自分が決断するときに、周囲の状況も偶然整っていました。

 

退職しようと自分の中ですっきり決断できた時、今、振り返ってみると、私の近くには退職という選択をすることを肯定してくれる理解者が複数いました。20年前に鬱病になった時にも「退職したい」という気持ちは強くありましたが、そのときには自分自身の心の準備ができていなかったとともに、客観的に退職を応援してくれるような人はいなかったと思います。

今年退職を決断する際には、そういう人が近くにいた訳です。

不思議ですが、意味のある偶然でした。

 

3 アドラーの「力への意思」という考え方

人間が行動するときの原動力となる力は、フロイトは性欲(リビドー)だとしましたが、アドラーは力への意思だとしました。

目標を設定してその目的に向かう力が人間を動かすと考えたのです。

目標設定を自己の課題と他者の課題に分け、自分のできる自己の課題に集中することを説きます。

 

確かに、自分がコントロールできないことに集中しても仕方ないので、精神的に健全に生きようとすれば、自己の課題に集中する必要があるということでしょう。

自分の退職という課題について考えると、職場の問題点とか社会の問題点というのは他者の課題、そういう問題がある現実を前提として、自分がどう生きるのか、どうするのかが自己の課題ということになります。

 

長い間、職場や組織の問題点について考えていましたが、自分自身の人生を進んでいこうとすれば、自分がどうしたいのか、何をしたらいいのかを考えなければいけない訳です。自分の生きる力が役に立つのは自分のコントロールできる部分なのですから。

 

こういうことを学びかじっていたので、人生のノウハウ本に書かれた「自分は自分、他人は他人」という助言も、素直に受け入れられたと思います。

 

 

 

それぞれの理論は、とても深いものなので、ここに書いてきたことは、心理学専門の方が見たら、間違いがあるかもしれませんが、少なくとも私がすがるような思いで学び、理解して、役に立ててきたことです。

完全な理解ではないかもしれませんが、かなりの程度、自分の人生に具体的に役立てることはできました。

そして、これからも自分の人生を彩ってくれる知識だと期待しています。

 

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