スタイルのある生活~早期退職50代男子ハタさんの試行錯誤~

公務員を退職するに至る経緯からその後の生活まで

退職から人生再建へのモデル(17) ~退職を意識したら、やるべきことを時系列で考える。(1)~

私のような中高年、つまりある程度の期間働いてきて、そこそこの蓄えもある人が働いている組織とどうやって手を切るか、結論を考えたいと思います。

ここまで16回に亘って、述べてきたことを時系列でまとめてみます。

 

記事は、退職を意識した時に最も気になると思われる労働市場の動向から書いてきましたが、時系列でやるべきことを考えると、それは一番最後になると思われます。

 

 

1 金銭的なベースを築く。

まず最初にやるべきことは、退職する時の金銭的なベースを築くことです。

組織に所属していて、追い詰められた時、辞められない最大の理由は、辞めた後の金銭的な不安です。

 

このことに対する対策は、投資をすることだと思います。

それも、できる限り早く、投資を始めた方がいいと思います。投資をして、自分自身の金融資産(すぐに使えるお金)を増やすことが、非常に大切です。

 

投資のやり方については、「退職から人生再建へのモデル」のところで、結論を書きました。是非、読んでみていただければと思います。

 

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また、投資についての、ベースになる考え方は、「お金のこと」というカテゴリーフォルダにまとめました。

参考にしていただければ幸いです。

まだ、30代とか若い人でも、この部分は参考にしていただけるのではないかと思います。

 

現在は、組織の中で、うまく行っている人でも、未来永劫、それが続くとは限りません。

そして、「うまく行かない」状況が自分に訪れた時、必要なことは金銭的な自立です。

結果的に、「退職なんて自分の人生で考える必要はなかった」ということになれば、本当にいいなとは思います。でも、相応の確率で、「もう限界、退職したい」と思うこともあると思います。

その時のために、絶対に準備しておいた方がいいと思います。繰り返しますが、できる限り早く。

 

 

2 人生のビジョンを明確にする。

退職を、具体的に考えようと思ったタイミングで、なんとなく持っていた退職後の人生のイメージを明確にします。

仕事をしていると、「やりたくないこと」が出てきます。また、幾度となく「仕事を辞めてやりたいこと」が頭をかすめます。これらのことを洗い出して、自分がどういう人生を歩みたいのか、そこまで大袈裟ではなくても、どういう生活をしたいのかを具体的に考えることが必要です。

 

これによって、退職後の仕事のやり方を含めたライフスタイルが明らかになると思います。

もちろん、人生のビジョンは人生を歩んでいく中で変わって行って構いませんが、まずは、そのベースとなるイメージを明確にすることはとても大切だと思います。

 

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3 退職後の「生活費」をイメージする。

現在の家計における支出を洗い出して、退職後もそれが必要かどうかを検証します。

退職前に削ることができるものも結構あったりします。

 

これは退職後にやってもいいと思いますが、退職前きちんとやっておくと、安心感が違うと思います。また、退職後の職業を検討するための一要素になりますから、できれば早ければ早いほといいと思います。その分、お金もたまりますし。

 

本気で考えると、劇的に変わると思います。

仕事にアップアップしていると、自分がどのくらいお金を使っているかに関心が向かず、知らず知らずのうちに多くの額を出費に費やしているはずです。

余談ですが、私は、昔、残業を月200時間以上やっていたときは、給料が毎月ボーナスのような額でしたが(その部署はきちんと残業手当が付いていました。)、その時のお金は全く残っていません。

 

退職前に削ることができる費目もあれば、退職後削ることになる支出もありますが、着実に検討を進めることが大切だと思います。

 

 

私個人としてのおすすめは、ミニマムな生活にシフトすることです。人それぞれ考え方はあると思いますが、少なくとも現在の日本人の生活は支出が肥大化しすぎだと思います。そういう意味からも、支出はどんどん削るべきだと考えています。

ただ、これは、貧乏暮らしを目指すわけではありません。人生のビジョンを明らかにして、自分がやりたいと結論付けたものは残せばいいし、残すべきです。

 

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長くなるので、この記事はここまでにします。

次回は、「4 退職後の職業を考える。」ということを書こうと思います。

退職から人生再建へのモデル(16) ~退職前に準備すべきこと(8)(まとめ)~

退職後のお金について、

1 投資が必須であること

2 家計の整理が必要であること

3 再就職は一般には至難の業であること

などを書いてきましたが、これらの関係について考えたいと思います。

 

 

退職後のお金について考えることは、人生のビジョンを持ち、それに沿った生活をどういうように構築していくかを考えるということだと思います。「一生、仕事中心の生活がしたい。」、「仕事が生きがい」という人であれば、それを否定するつもりはありません。しかし、そうではなく「いずれは仕事以外の生きがいを見つけて、趣味や家族との時間を大切にした人生を送りたい」と考えるのであれば、それをいつ始めるのか?、具体的にどうしたいのかということは真剣に考えるべきだと思います。

 

退職後も、仕事をしていた頃と同じ生活をしようと思えば、無理をしてでも前職と同じような仕事を探すことになると思います。でも、私がそれをお勧めしないのは、これまでの記事を読んでいただければ(飛ばし読みでも)わかっていただけるのではないかと思います。

 

 

これからの人生を楽しんでいくためには、それなりに生活を変えていく必要があります。

家計のダウンサイジングをして無駄を徹底的に減らすことは、人生をシンプルでより良い方向に変えてくれると思います。その上で、投資をしっかりして不労所得が入ってくるように生活の仕組みを構築する。これがしっかりできれば、再就職の点のハードルが相当下がると思います。

もしかしたら、家計をダウンサイジングして、他方で投資で利益が出るようになったら、働かなくてもやっていける、つまりFIREできるということにすら手が届くかもしれません。

完全なFIREはできなくても、生活費相当の利益が投資で出たら、自分の趣味ややりたいことにかかる経費分をアルバイトで稼ぐことで足りるかもしれません。

 

家計、投資、仕事による収入は、こんな感じで考えるのがいいと思います。

 

何度も書いてきましたが、漫然と仕事をしていた頃と同じ生活をしようと思わない方がいいと思います。

私は「仕事をしていた頃の生活は、理想的な生活ではない。」と明確に思いました。

今では、生活をシンプルに、できればスタイリッシュにして、趣味や人との関りを楽しんでいきたいと思っています。

 

 

家計を見直し、生活を見直し、投資の仕組みを作った上であれば、仕事を探して収入を得ることも趣味の範囲だと考えることができるのではないかとも考えています。

就職活動も、これまでやったことのないことにチャレンジすることの一例にすぎません。これからも思い通りにならないことは多くあるだろうし、腹が立つこともあると思う。でも、落ち込んだり、腹を立てることも含めて楽しんでいけるよう、これまでの経験を活かして試行錯誤を重ねていきたいと考えています。

 

 

退職から人生再建へのモデル(15) ~退職前に準備すべきこと(7) 家計の見直し 「月10万円で暮らす」・・は本当か。~

退職する前の準備で、投資をした方がいいことをお伝えしました。今回は、退職する前の準備として、家計のスリム化についてです。投資で入るお金を確保しながら、家計をスリム化して出るお金をコントロールすることが大切だと思います。

 

ネットや様々な出版物などで、「月10万円で暮らす」等のものが散見されます。でも、本当でしょうか。注意するべき点はないでしょうか。

 

 

1 固定費を予め想定しておく

まだ若くてそれほどの収入が無い人が「さあ月10万円で暮らすぞ」というのと、そこそこの期間、会社員や公務員として働いてきた人が退職後に「さあ月10万円で暮らすぞ」というのでは、意味合いが全く異なります。

これまでそれなりに働いてきた人が退職した場合の固定費は、それほど収入のない若い人よりもかなり多くなるからです。

 

固定費とは、年金掛金、健康保険料、住民税、固定資産税、マンションの管理費・修繕積立金、入院等保険など、一般には、どうやってもコストカットできないものです。

私の場合、これらの費目の合計額が、現在、大体月に12万円くらいです。

この時点で、月10万円生活はできません。

 

だから、できるだけ早い時期に固定費をきちんと割り出して支出として想定しておかないと、退職してからびっくりするような金額が月々出て行ってしまうと感じることになります。

 

 

固定費を割り出すときの注意点があります。

 

まず、健康保険料ですが、働いている時は労使折半となっています。保険料が4万円だったとすると、2万円は会社が支払い、あとの2万円は労働者が支払います。そして、労働者が支払う分は現実に徴収される訳ではなく給料から天引きされていますから、給与明細をしっかりと見ないと、負担していることすら意識していない人が多いと思われます。私自身、月々の健康保険料がいくらなのか考えたこともありませんでした。

更に、給与明細をきちんと見ていたとしても、そこに出てくる金額は2分の1の額です。

退職をすると、給与明細に書かれている金額の倍の保険料を自分が払うことになります。

これが結構な負担です。

 

次に、住民税ですが、所得税と違って住民税は、年収が確定した次の年にまとめて請求されます。だから、退職した次の年の住民税は結構な額の請求があります。覚悟しておかないと、びっくりします。

 

ただ、健康保険料も住民税も所得に応じた請求なので、いずれ落ち着いては来ますが、最初の1~2年はかなりの負担となります。

 

 

私は、固定費の計算を退職後にしたのですが、案の定、かなり驚きました。「生きてるだけで、こんなにかかるのか。」と思いました。

 

 

2 月々の生活費について

このように、固定費を割り出した上で、固定費以外の生活費について考える必要があります。生活費の部分(「月10万円で生きる」という記事などは、この部分のことを言っています。)については、巷のネット記事や出版物の情報をどんどん参考にしたらいいと思います。

 

私は、大きく分けて、

1 サブスク契約など月々引き落とされる経費の見直し

2 衣料費、食費などの生活コストの見直し

3 外食費、交友費の見直し

でした。

 

1のサブスクなどの見直しは、結構手続きが大変ですが、一度やると相当のコストカットができます。ネット記事などでも第一に指摘されています。携帯代、電気代(基本契約を見直すなど)、水道、ガス代(使用量の見直し)が一番に思い浮かびますが、それ以外にも大して使わないサブスク契約を解除するなどで、支出を抑制することができます。

もちろん、すべて削ればいいという訳ではなく、自分の人生のビジョンに従って必要なものは残します。私は、退職を機会にyoutubeのプレミアム会員になりました。

 

2の衣料費、食費については、時間はかかりますが、こつこつ合理化していくと、これも結構な額の節約になります。

衣料費は、仕事をしていた時は「無くなると困る」と思い、下着類のストックなどを多くしていましたが、改めて洗い出してみると、必要以上の量があったりしました。また、退職したらスーツ以外の私服を着る機会ばかりになりますが、整理したら3分の1以下になり、きちんと管理して必要なものだけを買うようになりました。

食費は、なんとなく家族と暮らしていた時と同じように作っていましたが、ダイエットの必要もあり、一度作ったら冷蔵、冷凍をしてストックして、少しずつを食べるようになりました。仕事のストレスが無くなってアルコールの消費量も減り、半分程度に支出は減ったかもしれません。

 

3の外食費、交友費は、仕事をしているときは結構多かったと思います。

「退職したら時間もできるし、外食、交友費は増えるかな」と思っていたのですが、実際には減りました。理由は以下のような感じだと思います。

1 徹底的にミニマムな状態にしたら家の居心地が良くなり、外食が減った。また、人と飲む時も、コロナの関係もあり人のたくさんいる店で外食をするよりも家に来てもらうようにしたことで支出が減った。

2 仕事が終わった後、極度の緊張を緩めるため、仕事帰りに一人飲みして帰ったりしていましたが、これが一切無くなった。

3 ダイエットなど体調コントロールは、外食をしない方がやりやすいので、行かなくなった。

 

大体、こんなイメージで生活費のダウンサイジングを行いました。

これを具体的に示す例ですが、仕事をしている時には、カード決済で引き落とされる金額が20万円を超えることもありましたが、現在は平均3~4万円になりました。

 

 

繰り返しになりますが、生活費のダウンサイジングには、ネットの記事や出版物を片っ端から参考にしました。

私が一番参考になったなと思うのは、大原扁理さんの「年収90万円でハッピーライフ」という本です。具体的なダウンサイジングのやり方も参考になりましたが、メンタリティも参考になりました。印象に残っているのは、「節約しなきゃいけない」というのではなく、「別にこれで満足」というある意味緩い感覚を持ってコストダウンしていることや、自分は趣味は読書、散歩だから、図書館で本を借りたら、趣味についてはコスト0となる等の内容です。

 

 

 

3 まとめ

私は、ミニマルな暮らしが好きだったこともあり、退職してから徹底して物を減らし、お金の使い方を見直し、生活の仕方を改めました。結果的には、相当のコストカットに成功しました。

結局、「自分がしたい生活はどんな生活なのか?」と自分に問いかけることで、自分の生活が管理できるようになって、その結果、コストカットができたのだと思います。

退職から人生再建へのモデル(14) ~対処前に準備すべきこと(6)(投資と退職後の収入)~

退職前には収入の一つの柱として、投資を組み込むことを考えるのがいいと思います。

 

これまで私の経験(30年ほど)で、前回書いた投資の方法による利益としては、年率5%ほどでした。大体15年で2倍になります。

現実には、働いている間は、少しずつ積み立てて行きますので、計算はややこしくなりますが。

 

退職した時点で収入が無くなれば、その時点での積み立ては無くなりますので、金額を固定して考えることができます。

仮に、退職金を2000万円もらったとして、これを全部投資したとすると、次年度にはその額は2100万円になります。2年後には2205万円、3年後には2315万円、4年後には243万円・・・10年後には3257万円になります。

10年後に増えた部分を取り崩したら、1257万円の利益ということになるので、1年あたり125万円。ここから税金を控除した後の金額が(ここではざっくり考えて)100万円ほどになります。

取り崩さずに、投資したままにできればもっと増えますし、年率が変わらなければ投資する期間が長くなればなるほど大きな利益を生むことになります。

 

年間100万円くらいの収入が見込めることになり、再就職を考えるとしてもそれほど給料が高いところでなくてもよいことになります。

 

 

このシミュレーションは退職してから投資をするという前提ですが、それまでにある程度の金額ができていれば、もっと楽になると思います。是非、計算してみてください。

退職前に切り詰めてがんばって1000万円を投資できたとすると、退職時点では3000万円(それまでに利益が出ていればその分も含めると3000万円以上)が原資になりますから、もっと大きな金額になります。

 

 

これが投資を強く勧める理由です。

投資に回せる金額が大きければ大きいほど、また、投資を始めるのが早ければ早いほど、リターンも大きくなります。そういう状況が出来上がれば、退職の決断もしやすいと思います。

 

私自身、退職する前は次に「仕事は見つかるのか?」ということばかりが気になって、大きな不安に押しつぶされそうでした。

でも、ここまでに書いてきたとおり、自分はシンプルな生活が好きだし、そういう視点で支出を削った生活を前提とすると、それほど多くの収入は必要ではないし、他方で、投資を継続してきているからその分の収入のほとんどがカバーできてしまっています。

 

結果的に、「押しつぶされるような不安感」を持つことなく、現在の生活を送れています。

 

 

退職後に仕事から得る収入額については、

・生活に必要な額から投資による利益を控除したくらいでいいと考えるのも一案ですし、

・生活費をミニマムにして、その額を賄えるくらいまで稼ぐ(投資したお金は切り崩さない)というのも一案(と言うか理想)です。

 

念のため申し添えますが、投資についてはリスクは投資をした人が負うことになります。これは当たり前のことです。

ただ、何となくリスクを恐れるのではなく、投資についてきちんと勉強し理解した上で、きちんと利益が出るところに投資することは、現在の日本では必須だと思います。上に書いたとおり、現在の日本では預金のリスクが顕在化してきています。

 

 

退職から人生再構築へのモデル(13) ~退職前に準備すべきこと(5)(投資の必要性)~

私は、昨年(令和22年)夏に33年間の公務員生活にピリオドを打ちました。

それなりの期間仕事を続けてきて、ある程度の蓄えはありましたが、仕事をしながら「本当にその蓄えで退職して大丈夫か」ということについては、よくわかりませんでした。本当に大丈夫かどうかを考えたのは退職した後です。

 

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今年夏で退職してからちょうど1年になります。1年間自分の状況を見つめなおしたり、考えたことを書いてみようと思います。

 

 

前回、投資についての方向性について書いてみました。

私の投資についての考えは、このブログの「お金のこと」というカテゴリーにまとめてありますので、それも参考にしていただければ幸いです。

 

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簡単に結論だけを言ってしまえば、退職を決断するには投資が軌道に乗っていることが不可欠だと私は考えています。

 

 

投資の方法については、前回紹介した本を参考にしていただければいいと思います。その方法を30年前から実践してみての考えを、今回まとめてみます。

 

「投資」を語る時に、セットで語られることは「リスク」です。

投資は預貯金とは異なり、元本割れのリスクがあります。基本となる株式について考えてみれば当然のことと言えますが、少し掘り下げて、現代社会で投資を上手にするのと、預貯金とどちらがリスキーなのかを考えてみます。

ただし、ここで「投資」というのは、アメリカのインデックスファンドへの投資のことを言います。

 

 

現在の資本主義社会を前提とすると、アメリカのインデックスファンドに投資するということは、資本主義経済全体に投資するのとほぼ同視できます。資本主義経済社会全体としては、それが始まってから短期的な好景気不景気はあるものの、一貫して全体としての株価は上がり続けています。

この株価の上昇に連動して投資しているのが、アメリカのインデックスファンドです。

だから、これに投資をしてきていれば、長期のスパンで見れば金融資産が増え続けてきたということです。これは、統計的な事実です。

 

もちろん、中身は株式が主ですから、「これからは下がる」というリスクも絶対ないとは言いません。ただ、全体としての株価(アメリカのダウなどの経済指標が示している株価)は、1929年の金融恐慌前から見ても上がり続けています。

誤解を恐れず、ざっくりした理解のために言えば、理論的なリスクは否定しないけれど、100年近くの間、資本主義経済社会全体の株価は上がり続けているということです。

 

これに対して、預貯金はというと、額面上の元本割れはもちろんありません。

ただし、基本的には増えることはありません。また、インフレリスクがあります。現在の日本では急にインフレが起きている状況ですから、額面上は元本割れをしていなくても実質的には預貯金額は目減りしています。

 

 

細かい理屈よりも、ざっくりとした結論を書きました。

詳細を知りたいという方は、前回紹介した本3冊をご覧になれば、極めて丁寧に説明があります。これを前提に考えると、預貯金とインデックスファンドへの投資と、どちらのリスクの方が大きいかは明らかだと思います。

当面必要なお金は預貯金として、そうでないお金は投資に回すのが賢いやり方だと思われます。

 

 

次回は、投資による利益は年にどのくらいで、それを前提に退職後の収入をどうしていけばいいかを考えていきたいと思います。

 

(コラム)「自分が悪い」で終わってしまう日本的思考法の問題点 ~環境を客観的に分析する態度への反発について~

私の好きなテニスの話です。

昔、ブラッド・ギルバートという選手がいました。ギルバートは、多くのスター選手と戦った比較的「才能のない」選手でした。ジミー・コナーズ、イワン・レンドル、ボリス・ベッカー、ステファン・エドバーグなどと同時代に活躍しましたが、四大大会のタイトルを取ったことがないこともあり、名前を知っている人は少ない。

 

でも、コーチとしてはとても評価が高い。

 

ギルバートは選手としては、面白くない選手として有名で、四大大会以外では結構優勝していたにもかかわらず、当時のメディアは、それは彼の実力と言うよりは相手選手の調子が悪かっただけだと報じていました。確かに、試合はウィナーの応酬ではなく、相手がミスしたポイントを積み重ねて勝っているように見えました。

でも、それはギルバートの相手選手を分析する能力が高いことの結果であり、コーチとなってそれを選手に教えることで、スランプに陥った選手を再生させることなりました。アンドレ・アガシが蘇った話は有名です。

 

「ウイニング・アグリー 読めばテニスが強くなる」というギルバートの書籍は翻訳されて日本でも売っています。

 

 

人は、えてして自分を磨くことには熱心で、結果が出ない理由を「自分が悪かった」という点に絞ってしまいがちですが、実は「テニスにおける相手」的なものに原因がある場合が多い。ギルバートの視点も同じです。

でも、日本社会ではうまく行かない時に、自分以外のせいにすることを嫌いますから、「自分が悪かった」となりがちです。

 

 

 

 

「敵を知り己を知らば、百戦危うからず」ということわざもあります。

自分を磨いていくことも、もちろん大切ですが、それと同じあるいはそれ以上に、「敵」「相手」など自分が相対しているものを知ることが重要だということです。

 

 

 

さらに「因果応報」という仏教の考え方も、同じようなことを言っているように思われます。

因果応報は、作用と反作用など、物事には法則性があって、そういう因果の流れを理解しなければならないという教えだと私は理解しています。自分を含めた物事は、客観的な因果の流れに従う。

 

 

 

「自分が悪かった」と自分ばかりに注目して、全体としての物事の本質を見ない「日本的な」態度は、安直と言ってもよく、決してほめられるものではない。ギルバートや、古人たちは、そう教えてくれているように思います。

結果を出そうと思えば、自分を磨くことは勿論、自分を取り巻く環境や社会をきちんと分析した上で臨むべきなのです。

 

 

 

私は、退職してから仕事探しをするにあたっては、労働市場についてできるだけ客観的に分析するように努めました。その上で、これからの人生をどうするのかを考えるためです。労働市場の状況は、最近、やっとわかってきたような気がしています。

でも、以前も書きましたが、労働市場について分析をしていると、話を聞いた人は「そんなことをしている暇があったら、どんどん求職活動をしないとだめだ。」、「仕事が見つからないのは労働市場のせいではなく、自分の市場価値がわかっていない自分自身のせいだ。」というリアクションに多く出会いました。

 

やっぱり日本では、「自分が悪い」という「へりくだった態度」が、どうしても必要なようです。

 

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(コラム)日本の経済と少子化 ~少子化を食い止められるか?~

退職準備として投資の重要性について、私の考えを述べました。

ただ、とても残念なことに、「日本の」金融商品に投資するという選択肢はありません。

 

日本の株などに投資ができない理由の一つに、少子化があります。

資本主義経済が発展するためには、人口増加は非常に有利な要素となります。簡単なイメージですが、人口が増えると提供しなければならないモノやサービス自然にどんどん増えますから、それを売る企業は潤います。企業に利益が出れば、給料を上げることが可能になります。そうすると、労働者は物やサービスを買うことができるようになります。

 

 

反対に、少子化で人口が減少したら、自然に考えれば、経済は縮小していきます。今の日本です。

だから、この国を立て直そうとすれば、少子化を食い止めることは絶対条件だと、私は思います。わりと簡単な理屈です。

 

少子化と経済、景気は関係ないとおっしゃる方もおられます。ただ、「少子化でも経済を発展させていくことができる」という考え自体を否定しようとは思いませんが、自然に考えれば人口増加が経済にとってプラスであることは確かだと考えられます。

 

余談ですが、以前の記事でアメリカの株式への投資がいいと言いましたが、アメリカは数十年スパンで人口増加が見込まれています。

 

 

では、少子化の原因は何でしょう。常々考えるのですが、私としては、結論はとても簡単だと思います。

子育てをする世代の生活に余裕がないから。

これしかないと思います。

いろんなことが言われていますが、子育て世代に金銭的、時間的余裕がないことが原因です。

 

私も、20年前は子育て世代でした。共働きで子育てをしました。

当時は、共働きの家庭のほとんどが実家の協力を仰いでいました。そうじゃなければ、とても共働きで子育てなどできませんでした。

でも、私は、当時、実家の援助のない子育てをしながら共働きをしました

現在は、実家をあてにしないのが普通になっています。

現在と同じような環境で子育てをしていたから、違いがよくわかります。ちょっと比較してみたいと思います。

 

 

当時に比べたら保育園や小学生の居場所の確保などの政策は進んでいます。勤務先での休暇制度も整備されています。また、補助金は拡充されたかもしれません。

 

でも、今、子育てをしている後輩の話を聞くと、保育園に入るためには抽選があり希望のところに入れないかもしれないという大きなストレスにさらされています。職場の制度(4月に転勤があるなど)と保育園の決まる時期(多くは3月)が近すぎて、苦労している。

子どもの体調が悪いと、昔は有給休暇を使って休暇を取り、使い尽くしてしまったりしていましたが、現在は各種の休暇制度が整っている。でも、結局は親が面倒を見なければならないことには変わりはない。休暇を取ることによる心理的負担も本当に大きい。(*)

*制度があっても、自分が休暇を取った際のフォローをお願いしているという心理的負担はかなり大きい。フォローをした人に対する報酬などが制度上ないため、フォローをする人は善意でやらざるを得ない状況になっている。その裏返しとして、制度を利用する人の心理的負担がある。

 

程度の差こそあれ、昔も今も変わりません。

 

 

このあたりのことは、現実に共働きで子育てを経験しないとわからないのではないかと思います。

政治家や企業などの幹部は、そういう経験をしていない人ばかりで、現実がわかっていません。

 

 

さらに、日本では、子育てをするにはフルタイムで共働きをせざるを得ない状況です。

子育てをしながら、夫婦両方がフルタイム勤務をするのは、大きな負担です。

本来は、片方が育児に専念できるとまでいかなくても、相当の負担軽減が必要です。

 

こう言うと、子育て経験のない中高年は、「じゃあ。フルタイムではない仕事を探せばいいじゃないか」と言うかもしれません。きっと言うでしょう。

でも、現在の日本では、フルタイムの正社員という地位を一度手放したら、再度戻ることはほぼ不可能です。賃金の異常に安いパートで稼ぐしかなくなります。

何と言っても、同一労働同一賃金の実現が未来永劫できなさそうな国ですから、改善は見込めません。

だから、子育て世代は正社員であれば、その地位にしがみついて子育てを続けるしかないのです。また、正社員でない人は、普通に考えれば子育てなど無理な安い給料でもやっていく覚悟をするしかない。

 

 

今の日本の標準的な子育て世代像は、「夫婦がフルタイムで働きながら生計を維持し、子どもの体調不良や学校行事などの際にも無理をして休暇を取って対処する。」と言ったところです。この負担がどれほどのものか、実は実感としてわかっている人は、思っているほど多くはない。

 

さらに、以前と比べて、正社員は減っています。正社員ですら大きな時間的な無理をしているわけですから、正社員じゃない人はなおさら無理をしないと子育てはできない。

 

 

働き方を柔軟にして、同一労働同一賃金を制度として実現して、ワークシェア等の政策を実行したらいいのではないかと思いますが、そんなことを言っている政治家や企業幹部を私は知りません。

 

こういう状況はずっと続くと考えられます。私が子育てをした20年前から本質的には変わっていないわけですから、理想的な未来は来ないと考えた方がいい。

 

我々が考えるべきことは、これを嘆くのではなく、個人がどうしていくかだと思います。